2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of circulating monocyte subset contributing to pathogenesis of systemic sclerosis
Project/Area Number |
17K09989
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
桑名 正隆 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50245479)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強皮症 / 単球 / 線維芽細胞 / I型インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
強皮症(SSc)は現状で残された難治性疾患の一つで、非可逆的な線維化・血管病変を特徴とする。これまで病態に関わる様々な分子や細胞が示されているが、全ての病変を一元的に説明しえるメカニズムの同定に至っていない。本研究では、『SSc患者では、転写因子レベルでの異常により誘導された単球サブセット(以下M2-SSc単球)が病変部組織にリクルートされ、線維促進因子の産生、筋線維芽細胞への分化転換、血管新生抑制を介して病態形成の初期段階で重要な働きをする』という仮説を検証することでSScの病態を解明することを目的としている。本年度はRNAシークエンスを用いてM2-SSc単球で発現が亢進している遺伝子を検討した。性別、年齢を一致させた早期びまん皮膚硬化型SSc患者、健常人をそれぞれ6例から末梢血CD14+単球を分離し網羅的遺伝子解析を行った。SScに発現の高い遺伝子として、IFI6、IFI27、IFITM1、IFITM3、IFITM10、SIGLEC1、IFI44、IFI44L、LY6Eなど多くのI型インターフェロン関連遺伝子が同定された。このうちSIGLEC1とIFI44はSSc患者の皮膚硬化の程度を半定量的に表すmRSSと相関する皮膚で高発現する4つの遺伝子群に含まれていた。特にSIGLEC1は末梢血単球に特異的に発現しており、M2-SScが皮膚に浸潤することで線維化を誘導する可能性が示された。また、本来は上皮系細胞に発現するMUC1がSSc単球で異所性に高発現していた。MUC1は血管内皮細胞や線維芽細胞との相互作用を促進し、TGFβ、PDGF、FGFなど線維化を促進する成長因子の作用を増強して線維化を促進する作用が報告されている。以上より、線維化を促進するユニークなフェノタイプを有するM2-SScはI型インターフェロンにより誘導される可能性が示された。
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