2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation causes of the increasing non vaccine type pneumococcal infections after the introduction of pneumococcal conjugate vaccine
Project/Area Number |
17K10097
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石和田 稔彦 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (30344980)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 13価肺炎球菌結合型ワクチン / 非PCV13含有血清型 / 免疫原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)小児上咽頭細菌叢の解析を継続的に実施した。13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種により、肺炎球菌の保菌率の変化は認められなかったが、分離される肺炎球菌血清型は、全て非PCV13含有血清型となっていた。保菌者から分離される非PCV13含有血清型の中には、ペニシリン低感受性株が認められたが、耐性株は血清型15A、35B、無莢膜株に限定していた。特に肺炎球菌無莢膜株に関しては、バイオフィルム産生能を解析したところ、莢膜株に比較し、バイオフィルム産生能が高いことが明らかとなり、また、MLST解析結果から水平伝播する可能性も疑われるため、今後、難治性呼吸器感染症の重要な原因菌となることが示唆された。また、実際に、多剤耐性の肺炎球菌無莢膜株による肺炎症例を経験し、その解析結果について報告を行った。 2)小児侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)罹患者ならびに肺炎球菌感染症に対する感染リスクの高い無脾症患者のPCV13血清型に対する特異抗体測定とオプソニン(OPA)活性を実施した。症例により、感染した肺炎球菌血清型に対する特異抗体価ならびにOPA活性が誘導されにくい症例が存在したが、重症化との関連性は明らかではなかった。一方、無脾症患者の特異抗体価は、健常児に比べて低かった。しかし、血清型により抗体価の値は異なっていた。 3)国内で、重症化、耐性菌による感染が問題となっている血清型10A(非PCV13含有血清型)の特異抗体価測定系を確立し、PCV13接種済で血清型10AのIPDに罹患した小児の抗体価測定を行った。血清型10Aに対する抗体価は症例により異なり、感染後上昇している症例、上昇の認められない症例があり、PCV13接種により非PCV13血清型の免疫原性に影響が出るのかどうかは明らかにはならなかった。今後、血清型10Aに対するOPA活性測定系を確立し、抗体の質的評価を行う必要がある。
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