2017 Fiscal Year Research-status Report
「オムツの取れない」年代での排尿測定システムの臨床応用
Project/Area Number |
17K10164
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
兼松 明弘 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90437202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 一平 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (40134663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿流測定 / オムツ / センシングテクノロジー / アドミタンス / 基盤電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの乳幼児期の正常排尿発達および疾患の影響を非侵襲的にとらえた研究は少ない。尿流測定は秒あたりの排尿量を計測して一回排尿量、排尿時間、最大尿流率、平均尿流率など排尿効率のパラメーターを求める方法で、学童期から成人まで第一選択の非侵襲的な排尿機能検査である。しかし現在使用されてる機器はなんらかの容器に対して排尿する必要があるため「オムツの取れない」乳幼児には使用できない。我々は、尿のしみこみをおむつ内のインピーダンスの変化として捉えることで排尿測定を行うプロトタイプシステムを作成し、ウエアラブルな尿流量測定装置を「おむつの取れない」年代を対象として臨床応用するべく本研究を実施している。 平成29年度は、研究分担者の所属機関である熊本大学において引き続き試作品の作成と問題点の検討を重ねてきた。最初の試作品は2次元基盤の一角からの尿のしみこみを計測するものであったが、現在はモデル系を実際のオムツ内での排尿のように一点から四方に分散するもので検討している。 具体的な検討点は以下の3点である。1)2次元的なしみこみパターンの検出システム問題の解決、2)流速・総吸水量の換算方法、3)吸水剤の性状のちがいによるしみこみ度の差。 同研究で熊本大学4年生の木村幸来が第34回センシングフォーラム,(2017.8.31~9.1,熊本大学)にて優秀賞を受賞した。これはトップレベルの計測研究者が集まるフォーラムである,研究の意義と独自性について専門家が「見込み」ありと評価していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的な理由は以下の通りである。 1)2次元的なしみこみパターンと流速・総吸水量の換算方法:この過程で当初想定していなかった誤差が発生していることが判明したが、これは測定領域の重なり合い現象のためであることが明らかとなり、それを補正する方法を開発した。また、測定回路そのものにも出力信号が測定対象の電極以外へ回り込む現象があることが判明したために、それを解決した。 2)吸水剤の性状のちがいによるしみこみ度の差:吸水材として主に晒を使用していたが、吸水する際にしわを生じて電極への接触が不安定であったため吸水してもしわを生じにくい羊毛フェルトに変更した。最終的にはフェルトよりも吸水性の良いものを検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
実験では滴下点からの距離に応じたアドミタンス分布をリアルタイムで監視した。滴下流量と吸水層内のアドミタンス分布には関係性があると考えられ、吸水層内の尿拡散モデルを定式化できると予想される。今後は滴下流量とアドミタンス分布の拡散速度の関係を明らかにし、予想される拡散モデルから流量推定法を確立する予定である。また、干渉補正後のセンサーにて隣り合う電極の測定範囲の重なり合いを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
本研究が試作品作成のスモールスケール実験段階にある。 次年度において消耗品の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)