2017 Fiscal Year Research-status Report
出生前母胎グルココルチコイド投与が新生児慢性肺疾患に与える影響の解析
Project/Area Number |
17K10168
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 達也 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埴田 卓志 東北大学, 大学病院, 助教 (30400360)
佐藤 信一 東北大学, 大学病院, 助手 (30770359)
松田 直 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50361100)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ラット / 慢性肺疾患 / 子宮内炎症 / びまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス |
Outline of Annual Research Achievements |
今日の周産期医療において,児の肺成熟や頭蓋内出血予防を目的とした母体へのベタメタゾン投与は,妊娠24-33週の早産が1週以内に予想される場合に広く勧められている.しかし慢性肺疾患 (以下CLD) の出生前危険因子である子宮内炎症やびまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス (以下DCH) を病理的背景にもつ場合に,出生前母体グルココルチコイド (以下GC) 投与が出生後の児の肺成長にどのような影響を与えるかについては未だ解明されていない. そこで本研究では,子宮内炎症やDCHを伴った妊娠ラットモデルにおいて,それぞれ出生前母体GC投与を実施した場合の新生仔肺を経時的に観察することにより,出生前母体GC投与による出生後の仔の肺成長への影響を病理学的に解析する. 平成29年度には,妊娠ラットを用いた実験を13回計画した.そのうち1回は周術期麻酔管理の問題で術中に妊娠ラットが死亡した.また4回は手技的な問題により出生後早期に母仔が死亡した.完遂できた8回の実験のうち,対照群は4回 (33例),DCH群は2回 (19例),GC群は1回 (12例),DCH+GC群は1回 (12例) であった (括弧内は出生した新生仔数).それぞれの群において,日齢0, 7, 14, 60で肺を摘出し,組織切片から得られた病理組織学的変化 (old or new BPD) を各群間で解析中である. 妊娠ラットに子宮内炎症を負荷した場合,エンドトキシンによる子宮内胎児死亡や出生後の新生仔死亡のリスクが高いと予想された.そのため手技的に困難な炎症群は,平成30年度以降に行なう方針とした.今回の実験系では,母体への侵襲の少ない手術操作と羊水腔内への薬剤注入手技が重要である.我々は手技を向上させることで,後半4回の実験では新生仔早期死亡や母体死亡を起こさずにデータを収集することが可能となった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は合計13回の実験を計画したが,手技的な問題により5回の実験は中止となった.そのため完遂した8回の実験から計76例の肺組織切片を採取した.これは当初の予定よりも少ない.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に安全な周術期麻酔方法と母体への侵襲の少ない手術操作および羊水腔内への薬剤注入手技が確立した.そのため平成30年度からは安定したデータ採取が期待できる.また子宮内胎児死亡や出生後の新生仔死亡のリスクが高い炎症群のデータ採取にも力を入れる予定である.
|
Causes of Carryover |
平成29年度は合計13回の実験を計画したが,手技的な問題により5回の実験が中止となったため残額が生じた.次年度には当初予定していたよりも実験数を増やす必要があるため,その際に必要な薬品や消耗品の購入代金に残額を使用する.
|