2018 Fiscal Year Research-status Report
NLRP3の活性化抑制をターゲットとした精神疾患の新規治療薬の開発
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17K10273
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩田 正明 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40346367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | うつ病 / ストレス / 炎症 / NLRP3 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は経口投与可能なβヒドロキシ酪酸(BHB)類似製剤を用いて研究を行った。これまでの研究でBHBの末梢投与はうつ病モデル動物に対して抗うつ効果を示すことを明らかにしてきたが、皮下投与することで直接体内に吸収されるという特殊性があり、ヒトへ直接応用できる投与法ではなかった。今回、経口製剤を用いて実験を行ったところ、投与する製剤の濃度依存性に血中の濃度も上昇すること、また有効血中濃度領域において、抗うつ効果、抗不安効果を示すことが明らかになった。また安全面においては、嗜好性により製剤を含む飲料水(やや独特の味と酸味がある)に対して忌避的となり体重が減少する個体がごく一部存在したが、ほぼ全ての個体において順調に生育し、有害事象は確認されなかった。これらのことから、本製剤の有効性と安全性が概ね証明されたものと考えられる。ただし、今回の投与方法は通常の飲料用ボトルに製剤を含む飲料水を入れるという投与法であり、動物が飲水すれば製剤が体内に入る(持続投与)という、ヒトへの一般的な投与法とは異なるものである。今後は分散投与を検討する必要がある。 また現在、同製剤投与による、脳内の炎症性サイトカイン濃度、およびストレスに伴う神経障害に対する効果について確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度にBHBの基本的な薬理効果を確認できた。また平成30年度には経口可能製剤を用いてその有効性と安全性を確認することができた。今後は有効性の基盤となる分子生物学的な背景を確認する作業を行う予定であるが、これまでのところ研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
BHB類似製剤の経口投与は行動面において抗うつ効果、抗不安効果を示すなど良好な結果を得ることができたが、その薬理作用として、1.脳内のNLRP3を阻害しているのか、2.脳内の炎症性サイトカインを抑制しているのか、3.ストレスによって引き起こされる神経障害を回復させているのか、4.他のモデル動物においても同様の効果を示すのか、5.ヒトへ応用する際の問題点がないか(投与回数は適切か、用量設定は適切かなど)を検証する。
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Causes of Carryover |
残額が少額であり、次年度に持ち越した。 次年度はまず最初にBHBによる脳内のNLRP3活性化阻害作用を確認する予定であり、残額は本実験における抗体・試薬の購入に充てる予定である。
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[Presentation] Intracerebral infusion of beta-hydroxybutyrate, an endogenic NLRP3 inflammasome inhibitor, produces antidepressant like effects in a rodent model of depression.2018
Author(s)
Kajitani N, Iwata M, Yamanashi T, Tsunetomi K, Miura A, Matsuo R, Nishiguchi T, Duman RS, Kaneko K.
Organizer
Society for Neuroscience
Int'l Joint Research
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