2017 Fiscal Year Research-status Report
Quantification and biological backgrounds of depressive mixed state
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17K10311
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
近藤 毅 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40215455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 一雄 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30302029)
甲田 宗良 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50736189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | うつ病エピソード / 抑うつ性混合状態 / 定量的評価 / DMX-12 / 探索的因子分析 / 内発的な不安定さ / 脆弱な反応・応答性 / 破壊的な感情/行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病エピソード時にみられる抑うつ性混合状態の定量的な評価を行うため、12項目からなるオリジナルの評価スケール(DMX-12:Depressive Mixed State-12)を策定した。抑うつエピソードで初診となった連続症例138例を対象に、混合症状の頻度および重症度を同定し、探索的因子分析によりDMX-12の下位項目を抽出するとともに、それらに対する諸因子の影響や既存の抑うつ性混合状態として定義されているBennazi(2007)の混合性うつ病(MD:mixed depression)とDSM-5(2013)の混合性の特徴(MF:mixed features specifier)との関連を検討した。 持続性の混合症状は一定の頻度で認められ、過感受性(38.4%)、思考促迫/混雑(35.5%)、転導性(34.8%)、過剰反応(33.3%)、内的緊張(32.6%)が主なものであった。DMX-12の総得点と抑うつ症状の重症度との間には正の相関がみられたが、年齢との間では負の相関が認められた。探索的因子分析の結果より、DMX-12は、内発的な不安定さ、脆弱な反応・応答性、破壊的な感情/行動、の3つの下位項目が抽出された。この中で、破壊的な感情/行動クラスターは混合性うつ病や混合性の特徴を識別するのにも有用であることが判明した。 以上の結果より、通常のうつ病エピソードを有する患者は少なからぬ頻度で抑うつ性混合症状を経験しており、これらは特に若年者や重症度の高いうつ病でより明らかとなることが示唆された。また、開発されたDMX-12の下位項目の中では、破壊的な感情/行動の要素が従来の混合性うつ病や混合性の特徴と有意に関連しており、DMX-12が抑うつ性混合状態の重症度を評価するのに有用なだけではなく、抑うつ性混合状態を識別する診断マーカーとしても有用である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、抑うつ性混合状態の定量評価のための12項目の評価票(DMX-12:Depressive Mixed State-12)を開発するとともに、その妥当性や有用度についても既存の診断基準(混合性うつ病、混合性の特徴)との比較検証を行い、まずは抑うつ性混合状態の重症度の定量や識別度の定性に関する今後の可視化作業に向けての基本的な研究段階を終えた。 初年度に得られた結果として、抑うつ性混合状態が、日常臨床で遭遇するうつ病エピソード全体の中において、どれだけの重症度を有する病態として、どのくらいの頻度で分布するのか、に関する実態が同時に明らかとなり、さらに抑うつ性混合状態を、内発的な不安定さ、脆弱な反応・応答性、破壊的な感情/行動の3つの症状構造から検討する意義を示すことができた点でも、おおむね順調な成果を得ているものと考えられる。 また、DMX-12を用いて抑うつ性混合状態の定量化がなされたことにより、うつ病エピソードの重症度や年齢との相関を直接的に検討することが可能となり、若年および重度の抑うつが抑うつ性混合状態の発症リスクとなることを新たな知見として提示できた点においても、初年度の研究成果が一定の達成度を以って臨床に還元・貢献しうることをを示唆するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、DMX-12を抑うつ性混合状態の定量的評価ツールとして用い、治療的介入の前後における抑うつ性混合状態の重症度の推移と神経免疫および神経生理などの生物学的指標の変動との関連を検討していくためのデータの収集に注力する。実質的には、抑うつ性混合状態に対する治療介入例において、混合状態の改善度(MD-15 の変化値)と生物学的指標の変動(治療前後のBDNF、サイトカインおよびNIRS の変化値)との関連を解析し、抑うつ性混合状態の治療反応予測指標としての前述した生物学的マーカーがどの程度有用性を持つのかを検証していく予定である。 なお、研究対象となるうつ病エピソードを有する患者は年間100例程度で本研究機関を訪れているが、そのうち、昨年度においては混合性うつ病の定義を満たした患者が24名であったことから、今後の3年間を併せて総計100名程度の抑うつ性混合状態への治療介入例を集積することができるものと見込まれるため、現時点では本機関におけるサンプル収集能力には問題がないと考えており、初年度と同様のエフォートでサンプル収集を継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
現在、研究結果をまとめた論文の英文校正を依頼しているが、校正作業がまだ済んでいないため、英文校正費の請求が平成30年度へ繰り越しとなる予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Tescalcin is a potential target of class I histone deacetylase inhibitors in neurons2017
Author(s)
Takamatsu G, Katagiri C, Tomoyuki T, Shimizu-Okabe C, Nakamura W, Nakamura-Higa M, Hayakawa T, Wakabayashi S, Kondo T, Takayama C, Matsushita M
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 482
Pages: 1327-1333
DOI
Open Access / Int'l Joint Research
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