2018 Fiscal Year Research-status Report
不飽和多価脂肪酸の認知症周辺症状に対する治療効果について
Project/Area Number |
17K10319
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
上原 隆 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (70303229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 一高 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70629203)
嶋田 貴充 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70735349)
大嶋 一彰 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30806899)
橋本 玲子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60623098)
樋口 悠子 富山大学, 附属病院, 講師 (60401840)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / 行動・心理症状 / 不飽和多価脂肪酸 / 介護負担度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症の諸問題の中で大きな課題となっている認知症の周辺症状(行動・心理症状)の予測と、有効な治療法の開発を目指している。われわれはこれまで赤血球膜中の不飽和多価脂肪酸濃度は、認知症患者においては(1)認知機能(MMSE)と正の相関を認め、(2)行動・心理症状とは負の相関を認めることを明らかにしてきた。また健常対照群82例を解析し、ApoE4保有の有無や既往症(高血圧、糖尿病、高脂血症など)の有無が不飽和多価脂肪酸濃度に影響することが明らかになった。本年度は認知症重症度の指標として、認知症サポーターキャラバンでも採用されている行動観察方式AOSについて271例の認知症患者を対象に、短縮版の作成を行った。その結果、従来47項目必要とされていた質問を17項目に短縮することが可能であることを明らかにした。このことはより短時間で認知症患者の重症度を判定することができ、臨床のみならず介護場面でのスタッフの負担を軽減することに貢献することが期待されると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介入試験について、認知症患者群の症例数が、予定していた症例数を達成できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究施設周辺の市町村にさらに積極的な広報活動を行い、症例数の確保に努める。また、同一施設内の他部門にも協力を依頼する。 本年度は、認知症患者群の症例数確保のため、研究協力施設を1施設増やすことができた。さらに本研究の趣旨を広く広報し、研究協力施設の増加に努める。 認知症をアルツハイマー病に限定せず、他の認知症(血管性認知症やレビー小体型認知症)をも対象とすることを、今後検討する必要があるかもしれない。また、認知症の行動・心理症状の中で頻度が高いとされるものとして抑うつやアパシー、不安がある。これらは高齢者のうつ病患者の症状と区別することが困難である場合が多い。さらにうつ症状はアルツハイマー病による認知症の前駆症状でもある。したがって高齢者うつ病患者も比較対象群に入れることで、より研究目的である「認知症の周辺症状(行動・心理症状)の予測と有効な治療法の開発」に効果的であると考えられるため、検討する余地がある。
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Causes of Carryover |
本年度は前年度の繰越金が474,678円あった。本年度は順調に研究が進行し、予算の執行は従来の予算額を越えていたが、繰越金を使い切ることはできなかった。2019年度は、研究協力施設の増加をさらに推進することで、認知症患者群の症例数増加に努めることにより予算執行額の増加が見込まれるため、繰越金と合わせて使用する予定である。
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