2019 Fiscal Year Annual Research Report
Health status and suicidal behavior among young employees in Japan
Project/Area Number |
17K10348
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山内 貴史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10598808)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 労働者 / メンタルヘルス / 援助希求行動 / 若年層 / 自殺 / 国民生活基礎調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究では、国民生活基礎調査及び警察庁自殺統計を用い、代表性のある労働者サンプルにおける援助希求行動と心理的苦痛との関連を年齢層別に検討した。 【方法】2016年の国民生活基礎調査の目的外使用を申請し分析に使用した。568,426人の調査対象者のうち、精神科を受診していない20~59歳の民間労働者および公務員で、1つ以上のストレッサーを報告し、かつ分析項目に欠損のない70,927人を本研究の分析対象とした。基本属性、労働時間、職種、雇用形態、睡眠時間、ストレッサー、飲酒・喫煙状況などの生活・職業関連要因の影響を調整した多変量解析を行い、援助希求行動の有無・内容と心理的苦痛との関連を分析した。 【結果】援助希求行動をしている労働者の割合は、20~39歳で77.3%、40~59歳では69.5%であり、20~39歳で有意に多かった。一方、強い心理的苦痛を報告した労働者の割合は、20~39歳では9.0%、40~59歳では6.0%であった。40~59歳の労働者と比較して、20~39歳の労働者では、家族、友人・同僚などへの援助希求行動をしている者は多いものの、公的機関や医療従事者などの専門職への援助希求行動は少なかった。また、援助希求行動がないことと強い心理的苦痛との関連が20~39歳の労働者でより強くうかがえ、援助希求できている者とできていない者との格差が40~59歳の者よりも大きい傾向が見受けられた。 【結論】「国民生活基礎調査」を用いた分析の結果、ニーズを自覚しながらも援助希求できていない労働者に対して援助希求行動を促進することの重要性が示唆された。特に20~39歳の労働者では、公的機関や医療従事者などへの援助希求行動が相対的に少なく、適切な支援へのつなぎという視点も重要であると考えられた。
|