2017 Fiscal Year Research-status Report
新規リコンビナントペプチドを用いた移植前血管床構築による皮下膵島移植の生着促進
Project/Area Number |
17K10505
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲垣 明子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20360224)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昌史 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50400453)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膵島移植 / 血管新生 / 皮下移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症糖尿病に対する移植療法である膵島移植では、経門脈的に肝臓内に移植する現行法に変わり、アプローチが容易で低侵襲な皮下移植の実現が望まれている。しかし、皮下は乏血管性により膵島の生着が著しく不良であり、これを克服する手段として新生血管を促進するbFGF(basic fibroblast growth factor)の有用性が報告されている。しかしbFGFには出血や滲出液貯留のリスクがあるため、これに代わる安全な皮下血管床構築用デバイスが求められている。そこで本研究では、ヒトⅠ型コラーゲンのα鎖にRGD基(Arg-Gly-Asp)配列を12個含有するRCPに着目し、皮下膵島移植における有用性を検証することを目的とした。 平成29年度はRCPデバイスの皮下血管床の構築と膵島生着向上対する効果を、ストレプトゾトシン(170㎎/体重)誘発糖尿病マウスへの同種同系膵島移植モデルにおいて検証した。実験はRCP留置10日間または28日間、およびシャム群の3群で実施した。マウスの背部皮下に直径15㎜のRCPデバイスを10日間または28日間留置後、デバイスを抜去して出来た空隙に膵島を1,000IEQs移植し、移植後2カ月間血糖の推移を確認し、糖尿病の治癒率を調べた。また糖尿病が治癒したマウスについては移植後約60日に腹腔内糖負荷試験を行った。その結果、RCPを使用した2群において10日間留置では効果が不十分であったが、RCP28日留置群の糖尿病治癒率は高い治癒率(100%)を示した。血糖低下に要する期間は、RCP28日群で9.8日であった。また、皮下に留置したRCPは28日間残存し、留置部に浸出液の貯留や出血は見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請の計画通り、移植予定箇所の皮下にRCPを留置することで膵島の生着が促進し、門脈移植と同等の移植成績を示すことを明らかに出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、至適化したRCPデバイスによる皮下血管床構築プロトコールを適用することで、皮下における膵島の生着がどの程度向上するのかを、経門脈移植、および皮下膵島移植において膵島生着促進効果が確認されているbFGF徐放デバイスとの比較実験により検証する。さらに、移植前血管床構築による膵島生着促進効果の機序を免疫組織学的、分子生物学的手法により検証する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、予定していた実験が効率的に進み、当初の計画よりも消耗品費が少なかったことが挙げられる。次年度以降の研究費を合わせた使用計画としては、動物購入と免疫組織学的検証に必要な抗体の購入費用等の消耗品として使用することを計画している。
|
Research Products
(5 results)