2019 Fiscal Year Annual Research Report
Acquired resistance to hormone therapy of breast cancer by mitochondrial reactive oxygen species
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17K10551
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉丸 哲郎 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 准教授 (80424729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HER2陽性乳癌 / ミトコンドリア / 治療耐性 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌発現亢進分子BIG3がPKAおよびプロテイン・ホスファターゼPP1Cαと複合体を形成するA-キナーゼアンカータンパク質として機能し、PHB2の脱リン酸化を介してその抑制活性を喪失させる新しい機能喪失機構を見出した。さらに、BIG3-PHB2相互作用を標的とした分子内架橋型阻害ペプチド(stapled-ERAP, stERAP)を開発し、stERAP投与によってBIG3から解放されたPHB2の腫瘍抑制機能の再活性化を利用した新たな治療法を提唱している。本研究は、BIG3-PHB2複合体がミトコンドリアにも局在することに着目し、stERAPのミトコンドリア由来活性酸素種(ROS)制御を評価することで、乳癌細胞におけるROS動態関連シグナルの網羅的解析を通じて乳癌におけるホルモン療法耐性機構を解明を目指す。 これまでに、HER2陽性乳癌細胞株でBIG3-PHB2複合体がミトコンドリアROS産生を制御していることを示し、耐性細胞株のROS産生量が有意に高いことを観察した。また、stERAP処理により遊離したPHB2は、細胞ストレスに応じて核、ミトコンドリア、小胞体にそれぞれ局在し、多くの分子と結合すること、多岐の癌関連シグナルを制御すること、および数多くの癌関連遺伝子群の発現を抑制することを確認している。 本年度は、トラスツズマブ耐性獲得に対するBIG3の役割・意義およびstERAPの抗腫瘍効果を検討した。BIG3はHER2陽性乳がん患者、特に再発患者で強く発現していること、BIG3の発現強度と無再発生存期間に有意な相関関係が存在することを明らかにした。また、stERAP投与はトラスツズマブ耐性を獲得したHER2陽性細胞株の濃度依存的な増殖抑制、HER2-HER3相互作用の阻害やNF-κBシグナル活性化の抑制を導き、週一回の尾静脈投与で完全なin vivo抗腫瘍効果を示した。
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Research Products
(5 results)