2017 Fiscal Year Research-status Report
胃癌における免疫チェックポイント分子発現に着目した新規バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
17K10593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 修平 九州大学, 大学病院, 講師 (10706914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室 圭 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (10501687)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
深川 剛生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (60313152)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PD-1 / PD-L1 / CD8 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】胃癌患者において、循環血液中(末梢血、骨髄血)のPD-L1, PD-1, CD8の発現量がバイオマーカーになり得るかを検討する。【対象】胃癌切除例246例、健常人23例。【方法】術前末梢血、骨髄血中のPD-L1、PD-1、CD8遺伝子のmRNA発現を定量RT-PCR法にて測定した。【結果】(1) 背景因子:平均年齢 62.1±12.8歳(24歳-87歳)、男性/女性 158/88例。(2) 健常人との比較(末梢血):胃癌患者ではPD-L1、PD-1、CD8発現がそれぞれ2.8、4.0、3.1倍と有意に高値であった(PD-L1: P<0.05、PD-1: P<0.001、CD8: P<0.001)。(3) 臨床病理学的因子: (末梢血) PD-L1高発現群は、壁深達度が高度で(P<0.05)、stageが進行していた(P<0.05)。CD8低発現群は、腹膜播種を多く認めた(P<0.05) 。(骨髄血)PD-1低発現群は、壁深達度が高度で(P<0.05)、stageが進行していた(P<0.01)。(4) 予後: (末梢血) PD-1、CD8低発現群は、それぞれ高発現群と比較し、有意に予後不良であり(PD-1: P<0.01、CD8: P<0.05)、PD-1高/低発現による予後の差は、stageが進行するほど大きかった。(骨髄血)PD-L1, PD-1, CD8発現と予後に有意な相関を認めなかった。(5) 多変量解析: (末梢血) 腫瘍径、深達度、腹膜播種、PD-1低発現が、全生存率の独立予後不良因子であった(PD-1低発現: HR 2.67, 95%CI 1.10-7.15, P<0.05)。(骨髄血) PD-L1, PD-1, CD8発現は有意な独立予後因子ではなかった。以上より、PD-1は末梢血液中において、術前末梢血中のPD-1低発現は独立予後不良因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢血、骨髄における免疫関連遺伝子のmRNA発現に関して、症例数を増やしている。また、胃癌組織に関しても同様に免疫関連遺伝子のmRNA発現と臨床病理学的因子、予後の相関の評価を開始しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌患者の免疫チェックポイント阻害剤の治療前、奏効中、増悪時の胃癌生検サンプル、末梢血を用い、免疫チェックポイント分子の発現、推移を評価し、それらの相関や臨床病理学的因子との関連より治療効果予測マーカーを同定する。 上記の解析より、癌局所と全身の抗腫瘍免疫反応の相関に関する新たな知見を得ることにより、これを実臨床にフィードバックする。さらには、簡便で低侵襲な血液検査をもとに、免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫治療における個別化治療の実現といった斬新な治療戦略を構築する。
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Causes of Carryover |
物品費が予想よりかからなかったため。翌年度分の物品費として使用する予定である。
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