2017 Fiscal Year Research-status Report
脳腸相関制御による大腸運動の解明ー新規大腸運動機能改善剤の開発に向けてー
Project/Area Number |
17K10648
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
柴田 近 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30270804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 仁 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00312570)
坂井 貴文 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40235114)
坂田 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (80610831)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸運動 / スンクス / フォーストランスデューサー / セロトニン / モチリン |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管運動は、交感神経や迷走神経などの神経系と栄養素やホルモンなどの液性因子の緻密な制御によって調節されている。胃・小腸運動は空腹期と食後期では全く異なったパターンを呈するが、大腸では空腹期と食後期でパターンは変わらずに収縮の頻度が増加することが知られており、大腸運動メカニズムの解明はヒトへの臨床応用に重要である。本研究は、トランスレーショナル研究に有用であり、ヒトと類似した胃運動様式を示すことが知られている食虫目スンクスを用いて大腸運動調節機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 平成29年度は、大腸組織片を用いたオーガンバス実験系と麻酔下と意識下スンクスの大腸に最適化したフォーストランスデューサーの作製及び大腸運動の測定系の確立を行い、セロトニンの効果を検討した。オーガンバス実験の結果、セロトニンの投与による大腸収縮効果は見られなかった。また、モチリンの投与も同様に大腸収縮運動には影響を及ぼさなかった。スンクス大腸用の小型フォーストランスデューサーを作成して大腸漿膜に逢着し、頸静脈に薬剤投与用カテーテルを留置して麻酔下及び意識下での大腸収縮運動の測定を行った。意識下スンクスにおいて空腹期の大腸収縮運動を測定することに成功し、現在はセロトニン、モチリンそしてグレリンなどのホルモン投与を行い、大腸収縮運動への効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、スンクスでの大腸収縮運動調節機構を検討するためにin vitroオーガンバス実験の確立を行った。 オーガンバス実験では、スンクス大腸を摘出しスンクスの自発性収縮運動を記録した。次に、セロトニンによるスンクス大腸収縮運動を検討した結果、アセチリコリン(10-5 M)は縦走筋方向に約10 gの収縮を惹起した一方で、セロトニン10-10から10-7 Mは大腸の収縮運動を刺激しなかった。セロトニン以外にもモチリンの投与を行ったが、現在まで収縮反応は見られていない。当初計画ではグレリンなどのホルモンの投与も計画していたが、実験系の確立に時間を要したので、次年度にグレリン及びコレシストキニンなどの投与を行う予定である。 スンクス大腸収縮運動をin vivoで測定するために、スンクス小腸用のフォーストランスデューサーを大腸測定用に改良し小型化に成功した。作製したフォーストランスデューサーを大腸漿膜に逢着して大腸収縮運動を測定した結果、麻酔下の大腸収縮運動は低振幅で、30分から60分間隔で見られることを明らかにした。また、頚静脈カニューレへのセロトニン(10 μg/kg)投与の結果、自発性収縮と同程度の振幅の収縮が惹起された。現在、モチリンとグレリンの投与を行い、大腸収縮運動に及ぼす影響を検討している。 スンクス大腸収縮運動に関与する受容体の網羅的解析は、生理学的実験を優先したため遅延しているが、次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、スンクスでの大腸収縮運動調節機構を検討するためにin vitroオーガンバス実験の確立を行った。 オーガンバス実験では、スンクス大腸を摘出しスンクスの自発性収縮運動を記録した。次に、セロトニンによるスンクス大腸収縮運動を検討した結果、アセチリコリン(10-5 M)は縦走筋方向に約10 gの収縮を惹起した一方で、セロトニン10-10から10-7 Mは大腸の収縮運動を刺激しなかった。セロトニン以外にもモチリンの投与を行ったが、現在まで収縮反応は見られていない。当初計画ではグレリンなどのホルモンの投与も計画していたが、実験系の確立に時間を要したので、次年度にグレリン及びコレシストキニンなどの投与を行う予定である。 スンクス大腸収縮運動をin vivoで測定するために、スンクス小腸用のフォーストランスデューサーを大腸測定用に改良し小型化に成功した。作製したフォーストランスデューサーを大腸漿膜に逢着して大腸収縮運動を測定した結果、麻酔下の大腸収縮運動は低振幅で、30分から60分間隔で見られることを明らかにした。また、頚静脈カニューレへのセロトニン(10 μg/kg)投与の結果、自発性収縮と同程度の振幅の収縮が惹起された。現在、モチリンとグレリンの投与を行い、大腸収縮運動に及ぼす影響を検討している。 スンクス大腸収縮運動に関与する受容体の網羅的解析は、生理学的実験を優先したため遅延しているが、次年度に行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費用、旅費共に申請金額よりも小額となり次年度使用額が生じた。これは計画よりも研究が若干遅れていることも影響している。平成30年度はこれらを物品費用、旅費として使用予定である。
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