2017 Fiscal Year Research-status Report
KPCLマウス用いた免疫細胞誘導性PSC基質リモデリングの解明とその制御
Project/Area Number |
17K10700
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼丸 学 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80529876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膵癌 / 膵星細胞 / リモデリング / 膵微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌組織に豊富に存在する細胞外マトリックスのリモデリングが癌浸潤や転移に関わることが知られているが、本研究では膵星細胞や免疫細胞など微小環境構成細胞に着目して、基質リモデリングのメカニズムの解析を行い新たな治療法の創出を目的とする。 本年度は、基質リモデリングによって基質のコラーゲン線維の配列制御に関わる膵星細胞の解析を行った。膵星細胞に発現するEndo180によって、細胞外マトリックスに含まれるコラーゲンが膵星細胞に取り込まれ、マトリックスメタロプロテアーゼ活性が亢進し新たに細胞外マトリックスを産生することで基質リモデリングを促進することを示した。さらに、膵星細胞の基質リモデリングによって、コラーゲン線維配列が浸潤方向へ構築されるとともに、膵星細胞がリーディングセルとして癌細胞の浸潤を誘導することを明らかにした。またマウスモデルにおいては、膵星細胞におけるEndo180をノックダウンすることで、膵実質浸潤方向へのコラーゲン線維配列を制御し、腫瘍進展を減弱させることを示して、原著論文として発表した。 さらに、細胞外マトリックスのリモデリング機構を解明するうえで、膵組織周囲を取り囲む脂肪組織由来幹細胞が作るコラーゲン基質に着目し、膵癌浸潤への影響を検討した。In vitroにおいて、脂肪組織由来幹細胞の作るコラーゲン基質は癌細胞の上清を添加することで密に変化した。また、間接共培養の実験系においては、活性化脂肪組織由来幹細胞は癌細胞の遊走・浸潤能を有意に亢進させ、膵癌周囲微小環境としての脂肪細胞の基質リモデリングへの関与を示唆する結果を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト膵癌切除組織及び膵癌自然発生マウスの腫瘍組織を用いて、基質リモデリングに関わる微小環境構成細胞の分布を免疫組織化学染色により解析を進めている。また、膵癌手術標本から活性化膵星細胞及び免疫細胞の分離を進めている。樹立・培養した膵星細胞の解析では、膵星細胞に発現するEndo180がコラーゲンの取り込みに関与し、新たに細胞外基質を産生することで基質リモデリングを促進することを示した。その際、基質におけるコラーゲン線維配列を制御するとともに、膵星細胞がリーディングセルとして癌細胞の浸潤を誘導することを明らかにした。膵星細胞のEndo180をノックダウンすることで、基質コラーゲンの線維配列制御につながり、新たな治療法の可能性を見出した。 さらに、膵癌周囲微小環境として脂肪組織由来幹細胞が作るコラーゲン基質が、癌浸潤の遊走・浸潤能を促進させることを示し、基質リモデリング機構の解明につながる結果を見出した。 以上の研究成果により、これまでの進捗状況としてはおおむね順調に進展していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
膵星細胞に発現するEndo180以外の他因子でも、基質リモデリングに関わる因子の同定・解析を進める。癌周囲微小環境構成細胞として、脂肪細胞由来幹細胞の作るコラーゲン基質が癌浸潤に関わり、新たなリモデリング機構の解明につながる結果を得たが、免疫細胞と基質リモデリングとの関連については解析が進んでいない。今後の推進方策としては、膵癌組織標本における基質リモデリング活性が高い領域と、その局所に存在する間質や免疫細胞の分布を詳細に解析する予定である。また、GFPマウス骨髄移植モデルを用いて、基質リモデリングを誘導する免疫細胞の同定や、オルガノイドモデルと免疫細胞との共培養実験系での機能変化の解析を検討している。
|
Causes of Carryover |
研究計画はおおむね順調に進んでおり、有効に資金を使用できたため。 次年度は主に研究用試薬、器材、抗体、遺伝子改変マウスの作成に使用予定する予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Pancreatic stellate cells reorganize matrix components and lead pancreatic cancer invasion via the function of Endo1802018
Author(s)
Koikawa K, Ohuchida K, Takesue S, Ando Y, Kibe S, Nakayama H, Endo S, Abe T, Okumura T, Horioka K, Sada M, Iwamoto C, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohuchida R, Manabe T, Ohtsuka T, Nagai E, Mizumoto K, Hashizume M, Nakamura M.
-
Journal Title
Cancer Letters
Volume: 412
Pages: 143~154
DOI
Peer Reviewed
-