2018 Fiscal Year Research-status Report
位相差X線CTと数値流体解析による小児肺静脈狭窄病変の病態解明
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17K10725
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白石 修一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00422600)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺静脈狭窄 / CFD / 位相差X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肺静脈狭窄部位が位相差X線CTで①どの様な組織密度で観察されるのか、②組織密度は免疫染色所見とどの様に対応するのか(細胞分布との対応はどうか)、③組織密度と壁ずり応力(WSS)との関連はどうかを明らかにする。これにより、肺静脈狭窄の発症の起因とされる④筋線維芽細胞の分布とWSSの関連を明らかにし、より根治性の高い治療法を開発することを目的とする。 本年度は、①については共同研究施設から得られた肺静脈狭窄病変以外の心標本(エブスタイン奇形・房室中隔欠損・大動脈弁狭窄症など)を用いてSPring-8にて撮像を行い、左心房-肺静脈接合部の特徴について観察を行った。また、上記疾患の特異な刺激伝導系の走行を可視化することに成功し、これらの成果については日本心臓血管外科学会・日本胸部外科学会において発表を行った。③については当院で撮影された肺静脈狭窄病変の患者のMD-CTから肺静脈狭窄部を立体構築し、ANSYS Academic Research CFD(ANSYS Inc)を用いて流体力学的にWSS及びstream lineを作成した。これについては今年度の日本心臓血管外科学会などにおいて報告予定である。また、左心房への肺静脈還流血流量の経食道心エコー検査による定量的評価について研究を行い、PV-VTIが肺血流に相関し肺血流量の有用な指標であることをEACTS(欧州胸部外科学会)において発表し、発表内容は論文掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SPring-8での撮影は年に2回に限られており、また肺静脈狭窄病変の心標本は非常に希少であるため撮影の機会が想定されていたよりも少なかった。しかし、肺静脈以外の位相差X線CT撮影が順調に進んでおり、これまでに報告の無かった心奇形の撮影技術と読影は確立出来たとと考えている。また、ANSYS CFDでの肺静脈及び左房接合部での血流の可視化とWSSなどの測定も通常のMD-CTから作成された3次元モデルから行っているが、対象が小児であり血管口径が非常に小さく測定誤差が生じている。これについては今後、位相差X線CTでより精度の高いモデルを作成することで解決できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺静脈狭窄病変の心標本で位相差X線CTの撮影を行い、肺静脈狭窄病変部位の精密な形態・血管壁構造の観察を今年度行う予定である。これにより作成された3次元モデルを用いてANSYS CFDにより肺静脈狭窄病変部位での血流をstream lineを構築して観察し、血管壁への壁ずり応力(WSS)分布についても研究を行い、当初の仮説であるWSSが肺静脈狭窄病変の進行に関与しているかの検証を行う。
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Causes of Carryover |
SPring-8のビームライン使用は成果公開優先利用課題であり、ビームライン使用料として研究費を使用する。また、SPring-8への往復出張費と心標本の運送及び得られた研究成果の学会発表にも当該研究費を使用する予定である。
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