2019 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血急性期の病態形成を制御する炎症性サイトカインの機能解明と治療法の開発
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17K10843
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
阿南 光洋 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50381033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆志 大分大学, 医学部, 教授 (30380520)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 脳浮腫 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血は、約半数の患者が初回の出血で死亡する重篤な疾患で、出血や頭蓋内圧亢進による急性期の直接的な脳障害、2-3週間内に生じる脳虚血など遅発性脳障害により、機能予後をも悪くする。近年、炎症病態が脳虚血に関与している事が分かってきており、当研究代表者はくも膜下出血や遅発性脳障害においても同じような炎症のメカニズムが関与しているのではないかとの着想を得て、本研究を行なっている。炎症性サイトカインのうち、脳梗塞での関与が明らかとなったIL-23、IL-17をターゲットとして、研究期間内には以下の4点について明らかとしたいと考えている。1. IL-23 がくも膜下出血急性期の脳浮腫に対する増悪因子であることを明確にし、その分子機構を明らかにする。2. IL-23が、遅発性脳虚血にも関与しているかどうかを明らかにする。3. IL-17が、くも膜下出血後の脳浮腫、その後の遅発性脳虚血に関与しているか明らかにする。4. くも膜下出血と遅発性脳虚血の新たな治療法の可能性を明らかにする。 本年度、引き続き上記1.3.に関連した研究を主に行なった。すなわち、IL-23遺伝子ノックアウトマウス、IL-17遺伝子ノックアウトマウス、に対して頚動脈からの穿通法にてくも膜下出血を生じさせ、24時間後、72時間後の脳浮腫の評価、神経学的評価を行なった。その結果を受け、更に短時間での脳浮腫、神経学的評価も行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はマウスに対しての顕微鏡手技が不可欠です。研究室で用いているstereo顕微鏡(Zeiss社製Stemi DV4)の不具合を生じてしまい、機材自体が古いversionであることから修理物品の取り寄せに時間を要しました。また、代替機材は別研究室にはあるものの、遺伝子組み換えマウスを用いていることから研究室の届出や計画書の変更も要し、それらに想定以上の時間を要したものです。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、引き続きIL-23遺伝子ノックアウトマウス、IL-17遺伝子ノックアウトマウス、に対して穿通法にてくも膜下出血を生じさせ、24時間よりも短時間のポイントにて、脳浮腫の評価、神経学的評価を行なう。 研究項目全般を行う時間的猶予がなくなっているため、脳浮腫に絞って炎症性サイトカインがどの様な関与を行っているかを追求する事も、対応として考慮していく。
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Causes of Carryover |
本研究はマウスに対しての顕微鏡手技が不可欠であるが、不具合の回復(修理物品の取り寄せ)や代替機材の調整に時間を要した。更には、遺伝子組み換えマウスの届出や計画書の変更も要したことで、想定以上の時間がかかった。 本年度は限られた時間内で全ての計画を行うことが困難となっているため、項目を絞って遂行する方針としている。
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