2018 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの病態にミトコンドリアが与える影響についての検討
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17K11007
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 良忠 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (90397802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はin vitroの実験系において、リウマチ滑膜細胞はミトコンドリア機能の低下があり、ミトコンドリアを増加させるAICARによってミトコンドリア生合成の亢進され、Caspase-9,3を刺激し、アポトーシスが誘導されていることがわかった。もともとミトコンドリア生合成能がリウマチの滑膜では低下していることから、そのミトコンドリアの低下が細胞増殖の亢進につながっている可能性が示唆された。 本年度はさらに、軟骨破壊のマーカーとしてMMP-3、骨破壊のマーカーとしてRANKLを測定した。AICAR投与により、どちらも有意に発現が低下し、ミトコンドリアのリウマチ滑膜における活性化は、関節破壊を抑制する可能性が示唆された。さらに、炎症性サイトカインであるIL-1,TNF-αの添加の有無により、AICARの細胞増殖能の変化を確認したところ、炎症性サイトカインが添加されたほうが有意に細胞増殖が抑制された。これにより、炎症環境下であるほど、ミトコンドリア機能の活性化が細胞増殖抑制によく働くことが示唆された。 さらにin vivoの実験系として関節リウマチのモデル動物であるCIAモデルマウスを用いて、ミトコンドリア機能の活性化が関節炎にどのように作用するか検討を行った。 前実験として、適切に関節炎が発祥されるかについて確認を行い、適切に関節炎を発症することを確認した。 その後、このマウスにおいて、コントロール群とAICARの腹腔内投与を行った群に分けて、関節炎の状況について検討を行った。関節の腫脹数と関節炎スコアはAICAR投与により有意に減少しており、ミトコンドリア機能の活性化が関節リウマチ治療に有用である可能性が示唆された。今後病理固有組織学検討、形態学的検討など、さらなる検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状順調どおり進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、in vivoの実験データを病理組織学的に検討を行い、さらなる経路の解明につなげたいと考えている。さらに関節リウマチ治療で重要な関節破壊の抑制について、形態学的な検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
動物実験における病理学的評価について、次年度に検討を行うこととしている。このため、その試薬については平成31年度の予算で支出予定である。また、論文作成費用や、データ解析、まとめのための費用についても平成31年度に支出したいと考えている。
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