2018 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病が人工関節用ポリエチレンの酸化劣化に及ぼす影響
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17K11031
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
齋藤 充 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50301528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 英紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20385355)
丸毛 啓史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70199925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 人工関節 / ポリエチレン / 酸化劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工関節の摺動面を形成するポリエチレン(PE)の劣化に関する研究は,PE自体の酸化過程のみに着目したものであったが,PEは,加齢や生活習慣病,メタボリック症候群の罹患により全身性に産生が亢進するフリーラジカルや活性酸素にさらされており,こうした全身性の酸化ストレスもPE劣化に関与すると考えている.そこで,抗酸化をPE自体に求めるだけではなく,全身性の酸化ストレスがPE劣化に及ぼす影響を検証するために, 1)酸化ストレスが亢進するメタボリック症候群のラットと健常ラットモデルの皮下に架橋あるいは抗酸化処理を施したPEを埋植し経時的に劣化を観察する.2)人工関節置換術後に再置換術を余儀なくされた症例において,回収したPEの酸化劣化の解析ならびに血液・骨・人工関節周囲組織の酸化ストレスの程度を明らかにすることにある. メタボリック症候群のラットモデルである雌性SDT fattyラット(日本クレア)および,健常対照として雌性SDラットを用いる.SDT fattyラットは,生後2ヵ月で糖尿病,肥満,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といった多彩な生活習慣病を併発する「酸化ストレス亢進したモデル」である.(1)健常SDラット群(2)メタボSDT fatty群の2群を設定する.生後1ヵ月齢の1個体の背部にすでに臨床で用いられている5種のPE(5x5x2mm)を背部皮下・5ヵ所に埋植して,術後3,6,12,18,24ヵ月(各n=8,合計8x2群x5期間:n=90)でPEを皮下から採取し解析する.また同時に,血液,尿,皮膚,皮下脂肪組織,骨(椎体,下肢骨),関節軟骨,大動脈,肝臓を採取して酸化劣化の程度および組織学的な変化を解析した. 屠殺時に皮膚を展開した結果,皮下組織にポリエチレンが存在した.これを採取し,FTIS法で観察したところ,明瞭なピークが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生活習慣病ラットと健常ラットの皮下に5種類のポリエチレン(人工関節用)を埋植した. 4週齢のSD系(Jcl:SD)ラット, 雄性 SPF(32匹):4週齢の自然発症糖尿病ラット(SDT/Jcl), 雄性 SPF(30匹):4週齢の健常ラット(SD), 6日間の馴化した背部皮下に1回埋植した.背部の皮膚を3ヵ所切開後,左右の皮下組織を剥離して被験物質を1ヵ所に1検体ずつ,1個体に付き,計6ヵ所に埋植し,1ヵ所ずつの皮下組織をナイロン糸で,3ヵ所の皮膚を絹糸で縫合した.
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Strategy for Future Research Activity |
体液,組織の酸化ストレスの相関性を検証し,PEの劣化との相関を検証する.
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