2017 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドシステムのメカニズムと癌発現に関する多角的遺伝子研究
Project/Area Number |
17K11101
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
猪股 伸一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10282352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 麻薬性鎮痛薬 / 癌 / 遺伝多型 / 内因性オピオイド |
Outline of Annual Research Achievements |
麻薬性鎮痛薬は癌細胞分化を促進するが癌細胞死も促進する反する研究報告があり、その原因としてオピオイド受容体からのシグナル伝達等に関わる周辺遺伝子の遺伝子変異が考えられる。変異型の少ない欧米の臨床研究結果は一致していない。女性の死因第一位の乳癌では、エストロゲン受容体が内因性のオピオイドペプチドに制御されるためオピオイド受容体の遺伝子変異も危険因子と考える。また内因性オピオイド・システムが神経・内分泌系や免疫系を調節しμオピオイド受容体も乳癌細胞に発現している。最も多い腺癌には内因性オピオイドペプチドが発現し、A118G 変異型G アリル保有患者では乳癌の罹患率低下や食道癌の進展抑制も報告されている。OPRM1の報告は1編で1つのSNPsのみの調査であり、詳細に検討した研究は皆無である。以上のように、内因性オピオイドペプチドを含むオピオイド関連システムを多角的に検討し、外因系のオピオイドの効果における多様性の機序を解明するとともに内因性オピオイド・システムが関連する乳癌発現機序を多角的な解析技術を駆使して明らかにすることを目的とした。 第一段階として、日本人1000名以上を対象に6番染色体上のμ受容体周辺の遺伝多型を調査した。日本人一般人口1000名と米国白人一般人口100名を比較した。その結果、米国白人におけるμ受容体A118G変異20%に対し、日本人では70%超で、頻度の逆転現象(P < 0.001)を確認した。日本人乳癌患者では70%であった。μ受容体のA118G変異頻度に関し、homo変異型を独立群とした国内外からの詳細な報告は極めて少なく、正確な研究結果は得られていないと判断される。海外の研究結果は、日本人に当てはまらないことが強く懸念され、周辺遺伝子の研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝酵素やシグナル伝達系の遺伝多型の影響も未解明の課題であるため解析を進める。解析方法などには適宜変更を加え、適切に対応していく。
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Strategy for Future Research Activity |
個人情報保護法を遵守し、倫理委員会の意見を尊重し、適切に対応する。
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Causes of Carryover |
測定解析方法を向上させることにより、試薬類の効率的な使用を予想以上に進めることができた。今後も試薬類の購入および学術発表に適切に使用していく。
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