2018 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドシステムのメカニズムと癌発現に関する多角的遺伝子研究
Project/Area Number |
17K11101
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
猪股 伸一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10282352)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 麻薬性鎮痛薬 / 癌 / 遺伝多型 / 内因性オピオイド |
Outline of Annual Research Achievements |
麻薬性鎮痛薬は癌細胞分化や細胞死も促進するという反する報告がある。内因性オピオイドは免疫系も調節し、オピオイド(以下OP)受容体は癌細胞にも発現する。乳癌ではエストロゲン受容体が内因性OPに制御され、OP受容体遺伝子変異は、乳癌の危険因子と考えた。これまで、変異型アリル保有患者では乳癌罹患率低下または増加の報告がある(1)。欧米からの研究結果が一致しない一因として変異型頻度が少なく、homo変異型を独立群とした3群比較がなされていないことが考えられる。そこで、変異型頻度の多い日本において3群で比較した。 倫理委員会の承認を得、日本人の乳癌患者63名と健常一般人口758名を対象とした。麻薬性鎮痛や内因性OPとの親和性に関する報告が多いrs1799971(2)に注目、6q24-q25のExon1領域A118Gを解析。PCR-RFLPやSSCPで解析・検出、シークエンスし塩基配列を確認。統計はカイ二乗検定でp<0.05を有意。結果;乳癌は63名全て女性、一般人口は758名で男性416、女性342名。遺伝子型3群の頻度に有意な群間差は認なかった。考察;以前に米国白人と日本人におけるA118G変異頻度の逆転現象を報告した。本邦ではhomo変異型を独立群とした3群比較が可能であり、信頼性の高い結果が得られたと考えられる。また、海外の研究結果は日本人に当てはまらないことが懸念される。 結語; A118G変異頻度に関し、homo変異型を独立群とした詳細な報告は極めて少なく正確な研究結果は得られていなかったと判断される。A118G変異は、乳癌の発現に影響しないことが示唆された。ただし、今回は1つのSNPのみの検討であり、周辺遺伝子などの研究を進める必要があり、研究を進めている。文献:(1)Tumour Biol. 2015, (2)Anesthesia 2000
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝酵素やシグナル伝達系の遺伝多型の影響も未解明の課題であり、これらを含めて解析を進める。解析方法などには適宜変更を加え、適切に効率よく対応していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
個人情報保護法を遵守し、倫理委員会の意見を尊重し、適切に対応する。
|
Causes of Carryover |
測定解析方法を向上させ効率化することにより、試薬類の効率的使用を予想以上に進めることができた。今後も試薬類の購入および学術発表に適切に使用していく。
|
Research Products
(1 results)