2019 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in the analgesic action of cerebrospinal transmitters and the descending inhibitory system after neuropathy
Project/Area Number |
17K11112
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星野 一 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60420775)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内因性鎮痛 / 青斑核 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床上、神経障害性疼痛の治療には抗うつ薬が処方される。その鎮痛機序として脊髄における下行性抑制系が重要な役割を担っていることがわかっているが、いまだ不明な点も多い。本研究では神経障害性疼痛モデルラットを用いた脊髄における抗うつ薬の鎮痛効果の検討として、まず抗うつ薬を全身投与し、行動実験による評価を行った。用いた抗うつ薬であるデュロキセチンおよびミルタザピンともに鎮痛効果が認められた。次に、脊髄髄腔内にノルアドレナリン神経毒であるDSP4及びセロトニン神経毒である5,7DHTを投与し、脊髄におけるノルアドレナリンおよびセロトニンを枯渇させた状態で、抗うつ薬を全身投与し行動実験を行った。その結果、ノルアドレナリンが枯渇した状態では抗うつ薬による鎮痛効果が減弱することが確認された。さらに、抗うつ薬全身投与後の脊髄後角でのモノア ミンの変化を、マイクロダイアリシス法及び高速液体クロマトグラフィーを用いて評価した。デュロキセチン投与後ではノルアドレナリンおよびセロトニンの上昇が確認されたが、ミルタザピンでは前者のみ上昇が確認された。以上のことから、脊髄における抗うつ薬の鎮痛機序として、ノルアドレナリンが強く関与していることが示唆された。さらにノルアドレナリン神経線維核である青斑核およびセロトニン神経線維核である吻側延髄腹内側部への抗うつ薬の効果を免疫染色法を用いて検討したところ、両薬剤において青斑核の興奮が確認された。以上から、神経障害性疼痛に対する抗うつ薬の鎮痛作用機序の一つとして、脊髄後角での作用のみならずその起始核にも作用し、鎮痛にはノルアドレナリンが重要であることが確認された。
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