2018 Fiscal Year Research-status Report
Role of cannabinoids in new prostaglandin synthesis and its involvement in pain mechanism
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17K11113
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90232587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 潔 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10157349)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Brain endothelial cell / Cyclooxygenase-2 / PGE2 / monoacylglycerol lipase / diacylglycerol lipase / ex vivo experiment / CFA |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】近年カナビノイド系由来のアラキドン酸がPGE2合成系に供給される可能性が報告されている。しかし炎症時にそれがあてはまるか不明である。炎症時の中枢神経系では、血管がPGE2合成の主たる場であると考えられる。そこで研究目的は以下の2項目とした。①単離した脳血管におけるPGE2合成を評価できるex vivo実験系を確立する。②カナビノイド系の酵素阻害剤を用いて、PGE2合成におよぼす影響を明らかにする。 【方法】ラットの右後肢にCFAを50μL皮下投与し、炎症を惹起した。24時間後に安楽死させ、脳表の血管(くも膜を含む)を採取した。対照群として無処置のラットを用いた。脳血管を37℃のHEPES-Ringer液中で培養し、液中に放出されたPGE2を0-30分、30-60分で測定した。培養液中に各種酵素阻害剤を加え、PGE2量におよぼす影響を調べた。培養終了後、脳血管での酵素発現をウェスタンブロットで調べた。 【結果と考察】①単離した脳血管は培養液中にPGE2を放出した。放出されたPGE2の量は、炎症状態にあるラットの脳血管で有意に増加した。この結果は0-30分と30-60分の培養期間で同様であった。単離脳血管のPGE2合成を評価するex vivo実験系が確立したと考える。②培養液中にCOX-2阻害剤(NS398)を添加すると、培養液中に放出されるPGE2が有意に減少した。また、ウェスタンブロットによりCOX-2が炎症状態のラットの脳血管に無処置の脳血管より多く発現していた。これは単離脳血管で培養中にCOX-2依存性PGE2合成が起こっていることを示す。次に同様の実験をカナビノイド系酵素の阻害剤を用いて行った。カナビノイド合成系酵素であるジアシルグリセロールリパーゼβおよび分解系酵素であるモノアシルグリセロールリパーゼの阻害剤は培養液中のPGE2量に有意な影響を及ぼさなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カナビノイド系酵素の阻害剤を用いた実験が当初の予定より遅れている。前年度までマウスの炎症モデルで実験を進めてきたが、マウスの脳血管はex vivo実験を行うには量的に不十分であった。そのため、ラットの炎症モデルで新たにex vivo実験系を構築するのに時間がかかり、遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の単離脳血管ex vivo実験系で残っているカンナビノイド系酵素阻害剤を用いた実験を完了させる。もしある特定の酵素が関わっている結果が得られたら、その発現をタンパク質レベル、mRNAレベルで明らかにする。一方、カンナビノイド系の関与が示されなかった場合には、他のアラキドン酸供給経路について検討する。その手がかりとして、単離脳血管において炎症時に増加する遺伝子をDNAアレイを用いて抽出する。
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Causes of Carryover |
マウスでのex vivo実験系を当初用いていたが、十分な量の試料が得られず、途中でラットの実験系に変更したため、実験系の確立に時間を要した。そのためにさらなる国際学会での発表の時期が遅れたこと、カナビノイド系酵素阻害剤などの試薬その他の購入が遅れた事、新たな研究補助員の確保が遅れており人件費が未使用であることなどの理由で、これらは次年度使用する予定である。
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Research Products
(2 results)