2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of cannabinoids in new prostaglandin synthesis and its involvement in pain mechanism
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17K11113
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90232587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 潔 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10157349)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Brain endothelial cell / zymosan / Cyclooxygenase-2 / PGE2 / fever / monoacylglycerol lipase / phospholipase A2 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】炎症時の疼痛や発熱には、中枢神経系で増加するPGE2が関わっている。このPGE2合成において、基質となるアラキドン酸の供給メカニズムが不明である。本研究の目的は、このアラキドン酸供給にカンナビノイド系が関わっているか検討することである。これまで、マウス、ラットのin vivo、ex vivo炎症モデルを確立し検討してきた。2020年度はカンナビノイド系酵素のKOマウスと阻害剤を用いて、発熱を指標にその関与を検討した。また、カンナビノイド系以外のアラキドン酸供給メカニズムについて探索した。 【結果と考察】zymosan皮下注射による炎症で、中枢性PGE2が増加し発熱が起こる。①カンナビノイド系酵素(monoacyl glycerol lipase:MGL)欠損マウスでも、野生型マウスと同様にzymosanによる発熱が起こった。②MGL阻害剤(JZL184)前投与を行ったマウスでも、zymosanによる発熱が起こった。以上の結果と、前年度までに行った実験結果を総合すると、末梢炎症による中枢性PGE2増加にカンナビノイド系が関わっている可能性は低い。それに代わる炎症時のアラキドン酸供給メカニズムについて、データベース検索と免疫組織化学で検討した。3つのデータベースを対象とした。これらはすべて、炎症時に脳血管内皮細胞で増加するmRNAをRNAseqにより網羅的に解析したものである。その結果、炎症時に脳血管内皮細胞で増加する2種の酵素(phospholipaseA2:PLA2)が見つかった。これらの酵素に対する抗体を用いて、マウス脳の免疫組織を行った。その結果、これらの酵素が脳血管内皮細胞で発現していること、そして炎症時に増加することが示された。以上の結果は、炎症時中枢性PGE2合成におけるアラキドン酸供給は、カンナビノイド系ではなくPLA2の一部が関わっている可能性を示す。
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