2017 Fiscal Year Research-status Report
精巣腫瘍のLSD1による増殖機構解明とその阻害剤による治療法開発のための基礎研究
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17K11152
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
秋田 英俊 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10381782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30381867)
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50551272)
飯田 啓太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (30713945)
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30600754)
内木 綾 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20509236)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | LSD1 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、精巣腫瘍細胞株を用いたLSD1阻害剤の増殖抑制メカニズムの解明を予定していた。この目的のため、非セミノーマ細胞株NTERA-2およびTera-1を用いて、in vitro実験を中心に行った。in vitroでLSD1をLSD1阻害剤によって特異的に抑制し、その抗腫瘍効果についてWST-8アッセイを用いて確認したところ、NCL1およびNCD38のいずれにおいても濃度依存的な抗腫瘍効果が認められた。また、GUAVAシステムを用いてフローサイトメトリーでアポトーシスおよび細胞周期への影響を検討したところ、アポトーシスの誘導が認められたが、細胞周期への影響は明らかではなかった。この作用メカニズムについてさらに検討するため、ウェスタンブロットを施行したところ、アポトーシス関連蛋白であるcleaved-caspase 3の発現上昇を認めたものの、cyclin B1やcyclinD1、cyclin dependent kinase 2、cyclin dependent kinase 4、cyclin dependent kinase 6、p21、p27などの細胞周期関連蛋白の発現変化は明らかではなかった。また、がん幹細胞関連蛋白マーカーとして注目されているOct4やSOX2などの蛋白についても発現変化を検討したところ、LSD1阻害剤の投与によってこれらの蛋白の発現低下が認められた。また、これらの実験と並行して、平成30年度に行うin vivo実験のため、精巣皮下腫瘍モデルの作成についても併せておこなった。マトリゲル使用の有無、マウスの種の検討、移植する細胞数の検討を行い、皮下移植モデルの手法について最適化を行い、安定的に皮下腫瘍モデルが作成できることを確認できた。平成30年度には、これらの成果を踏まえ、動物モデルを用いた解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたin vitro実験によるLSD1阻害剤の効果のメカニズムの検討がおおむね順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、LSD1阻害剤の生体内での抗腫瘍効果と安全性の検討を予定している。雄ヌードマウスにJKT-1やNTERA-2を皮下移植し、精巣腫瘍動物モデルを作成する。LSD1阻害剤としてNCL1およびNCD38を用い、投与量は平成29年度の研究の結果およびこれまでの前立腺癌動物モデルでの研究の結果によって決定する。また、既存の非選択的LSD1阻害剤であるtranylcyplomineを投与する群を設けることを考慮する。投与経路は腹腔内投与とし、毎週2回、体重と腫瘍サイズ測定を行う。サクリファイスを行い、皮下腫瘍を採取し、ホルマリンおよび凍結固定し、その後の解析に使用する。LSD1の免疫染色や、メチル化の基質であるH3K4me2、H3K9me2の免疫染色を行う。また、平成29年度の研究で確認できた細胞増殖に関わるタンパク発現を検証し、TUNEL染色でアポトーシスシグナルの有無を検討する。さらに、LSD1阻害剤が生体に及ぼす影響を、脳・肺・肝臓・腎臓・前立腺・精巣などの諸臓器を摘出し検証する。以上によりNCL1およびNCD38投与における生体への影響を調べ、至適投与濃度、投与回数を明らかにする。
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Causes of Carryover |
解析に用いていた試薬が適切でないことが判明し、適切な試薬の選定をし直したため研究計画が遅れた次年度使用額が生じた。 新たに細胞株を購入しLSD1阻害剤の精巣腫瘍細胞株に対する増殖抑制メカニズムの解明のうち、細胞周期関連タンパクの発現変化をもう一度確認していく。
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Research Products
(1 results)