2018 Fiscal Year Research-status Report
天然食品由来抗酸化フラボノイドの前立腺癌予防に関わる分子基盤
Project/Area Number |
17K11155
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
内木 拓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50551272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20254279)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30381867)
飯田 啓太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (30713945)
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30600754)
高橋 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60254281)
内木 綾 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 高度医療教育研究センター講師 (20509236)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 天然フラボノイド / ルテオリン |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、プロバシンプロモーターの下流に、SV40ラージT抗原の遺伝子を結合して得られるPBSVTジーンをSDラットの受精卵に導入し、前立腺癌モデルラットを確立した。Transgenic rat for adenocarcinoma of the prostate (TRAP)と名付けられたこのモデルに発生する前立腺癌は、病理学的にヒトの前立腺癌に類似した点を多く認めた。そこで私たちは、このモデルラットから去勢抵抗性前立腺癌の転移モデルを新たに樹立し、発がんメカニズムの解析や癌予防物質の研究を行ってきた。さらに新たにcDNAマイクロアレイ解析を行い、去勢抵抗性の腫瘍で発現上昇を認め、これまで文献上報告のない遺伝子Glutathione Peroxidase 2 (GPX2)を同定した。そしてGPX2は前立腺において、酸化ストレスを制御し、発がんや去勢抵抗性を獲得した増殖に促進的に関わることを明らかにし、前立腺癌の標的因子となりうることを証明してきた。 これらの成果を踏まえて本研究では、天然食品に多く含まれるルテオリンやロズマリン酸などの抗酸化フラボノイドを用いて、GPX2を制御し酸化ストレスの抑制効果を検証する。前立腺発がん予防や、治療に難渋する去勢抵抗性癌への進展を予防する基礎的研究を行い、その分子メカニズムを解明することで、天然食品を用いた新たな治療法開発に向けた足掛かりとする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6週齢のTRAP雄ラットに、ルテオリン及びロズマリン酸を20, 100 ppmの濃度で混餌投与する。対照群として、ルテオリンを投与しない群を設け、8週後の剖検時に前立腺、肝および腎を採取し、重量測定とともに血清中テストステロン、エストラジオールを測定する。前立腺組織は、前癌病変、癌病変に分けて検討した。その結果、ルテオリン投与によって酸化ストレス関連の遺伝子変化と抗腫瘍効果、さらにアポトーシスの誘導を認めることが明らかとなった。次に 6週齢の去勢した雄ヌードマウス(ksn/nu-nu)に、去勢抵抗性前立腺癌細胞株PCai1を1×106皮下移植し、ルテオリンを20, 100 ppmの濃度で混餌投与した。対照群として、ルテオリンを投与しない群も設けて、6週後の剖検時に、皮下腫瘍、リンパ節、肝および腎を採取し、重量測定を行った。その結果、ルテオリンの経口投与によって、去勢抵抗性の増殖に関しても抑制効果を認め、アポトーシスの誘導、腫瘍関連血管の減弱、酸化ストレス関連マーカのGPX2の発現低下を認めることが分かった。これらの結果から、ルテオリンは、前立腺発がんや去勢抵抗性の癌増殖などの様々な段階での抑制効果を認めることが証明できた。さらに現在、in vitroにおける酸化ストレス関連因子の調節メカニズムに関する解析を行っている最中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
近年開発されたマルチプレックス(MAGPIX®)解析システムが、最大50種類の血液・尿中タンパクの測定を同時に行うことが出来ることに着目し、摂取栄養に伴う酸化ストレス関連マーカーと癌患者の予後に着目した臨床研究を行う。名古屋市立大学およびその関連病院において、針生検によって前立腺癌と診断された患者を対象とする。 アンケート用紙を基に、これまでの食事内容を記録し、解析ソフトを用いて摂取カロリーや栄養素の算出を行う。そして、対象症例の検体を用いて、酸化ストレス関連マーカーと病理検体のGPX2発現をELISA法および免疫組織学的に定量化する。年齢や臨床ステージも含めた酸化ストレス関連パラメータと、前立腺癌の悪性度およびその予後に関して、相関があるかを比較検証する。癌患者に有意な因子を検出し、酸化ストレス関連リスク因子を同定し、摂取栄養素との関連を解明することで、どのような患者でルテオリン含有の天然食品の効果が得られるか検証する。それらに基づいて介入研究をデザインし、前立腺発がん・進展予防法の樹立を行っていくための、基礎的データを蓄積する。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] NCL1, a highly selective lysine-specific demethylase 1 inhibitor, suppresses castration-resistant prostate cancer growth via regulation of apoptosis and autophagy.2019
Author(s)
Etani T, Naiki T, Naiki-Ito A, Suzuki T, Iida K, Nozaki S, Kato H, Yagayasu Y, Suzuki S, Kawai N, Yasui T, Takahashi S.
-
Journal Title
J Clin Med.
Volume: 8
Pages: 442
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Gemcitabine and docetaxel as second-line chemotherapy in elderly patients with metastatic urothelial carcinoma: a retrospective analysis.2018
Author(s)
Naiki T, Iida K, Etani T, Nagai T, Tanaka Y, Sugiyama Y, Ando R, Hamamoto S, Banno R, Nagata D, Kawai N, Yasui T.
-
Journal Title
Cancer Manag Res.
Volume: 10
Pages: 3669, 3677
DOI
Open Access
-
[Journal Article] GPX2 promotes development of bladder cancer with squamous cell differentiation through the control of apoptosis.2018
Author(s)
Naiki T, Naiki-Ito A, Iida K, Etani T, Kato H, Suzuki S, Yamashita Y, Kawai N, Yasui T, Takahashi S.
-
Journal Title
Oncotarget.
Volume: 9
Pages: 15847, 15859
DOI
Open Access
-