2018 Fiscal Year Research-status Report
尿道下裂の遺伝子制御機構の解明と遺伝子導入細胞シートを用いた新規手術法の開発
Project/Area Number |
17K11186
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
黒川 覚史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50468253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70448710)
守時 良演 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50595395)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10621063)
神沢 英幸 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00551277)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40238134)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿道下裂 / モデル動物 / 遺伝子 / マイクロアレイ / 遺伝子導入 / 再生医学 / パスウェイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿道下裂モデルラットの作製と原因遺伝子検索により、下記の2つの研究を実施した。 1) 尿道下裂モデルラットの作製 11週齢の妊娠Sprague-Dawleyラットに対し非ステロイド性抗アンドロゲン剤flutamide 7.5mgを、日数を調節して腹腔内投与することで、胎仔の尿道形成時期を特定した。すなわち、ラットの尿道形成は、妊娠15日目から始まり、妊娠17日目が最も重要な時期で、妊娠19日目には終了することが確認された。妊娠15日目と17日目と19日目に胎仔の陰茎でどのような遺伝子発現が変化しているのかを調べることで尿道形成に関わる遺伝子が同定できる可能性が示唆された。胎仔の陰茎採取方法は、実体顕微鏡下に氷冷したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に妊娠ラットから摘出した子宮をおき、羊膜を開け胎仔を取り出す。胎仔の性腺を実体顕微鏡で確認し雌雄を識別したのち、雄仔から陰茎を採取する。胎仔の陰茎は、遺伝子採取用、タンパク抽出用、組織検査用に保存した。 2) 胎仔陰茎の遺伝子解析・タンパク解析・発現局在解析 遺伝子採取用の胎仔陰茎からtotal RNAを抽出し、逆転写によってcDNAを合成する。合成されたcDNAは、マイクロアレイチップにハイブリダイズさせスキャナーによる解析を行った。マイクロアレイの結果である遺伝子発現プロファイルをパスウェイ解析にかけ、尿道形成の重要な遺伝子経路の同定を試みた。尿道形成に重要な遺伝子の候補として、新規遺伝子(Pip: Prolactin-induced protein)を同定した。免疫染色による発現局在解析の結果、陰茎包皮の表皮基底層に発現を認めた。ラットだけでなくヒトにおいても同様の結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロアレイの結果である遺伝子発現プロファイルの解析に時間を必要としているためである。パスウェイ解析の導入により遺伝子パスウェイの同定、すなわち単独遺伝子一つ一つの確認をせずに、遺伝子群として遺伝子発現変化を捉えることを行っている。この遺伝子同定が今回のキーポイントとなると考え、集中的に解析を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
パスウェイ解析にて得られた遺伝子パスウェイ上の遺伝子について、裏付けとなる定量RT-PCR法により実際の発現差を確認する。さらに、発現部位を同定するために、胎仔陰茎のin situ hybridization法と免疫染色を行い、組織学的に検討する。同定された遺伝子の中で特徴的なものは、候補遺伝子としてcDNAをサブクローニングして、遺伝子導入研究を行う予定である。
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