2018 Fiscal Year Research-status Report
脱落膜化によって活性化されるマスター遺伝子を中心とした転写ネットワークの解明
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17K11239
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹谷 俊明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70464328)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱落膜化 / 子宮内膜間質細胞 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜間質細胞の脱落膜化には、様々な遺伝子の発現変化が関与している。実際、次世代シークエンサーを用いた我々の解析では、脱落膜化の過程で約2200以上の遺伝子において、その発現が新たに誘導されたり、発現レベルが増加したり、また逆に発現が抑制されるなど、劇的な遺伝子発現の変化がおこっている。この脱落膜化による遺伝子発現変化により、子宮内膜において、免疫、血管新生、細胞接着、細胞形態、糖代謝などの着床・妊娠維持に係る様々な機能が調節されている。しかし、今までの遺伝子発現調節についての研究は個々の遺伝子に焦点を当てたものであり、ゲノムワイドな視点から遺伝子発現制御機構を捉えようとした研究は極めて少ない。本研究では、次世代シークエンサーを用いた解析から得られたビッグデータを基盤として、脱落膜化のカギとなる最上流のマスター遺伝子とその下流の転写制御ネットワークを同定し、それらの因子の脱落膜化における重要性を探ることを目的とした。2018年度は、詳細なゲノムワイド解析によりしぼりこんだマスター遺伝子候補である転写因子Xに関する解析を行った。遺伝子XをSiRNAを用いてノックダウンすることにより、遺伝子Xの制御下にある遺伝子群をRNAシークエンスを用いたゲノムワイド解析により同定した。さらに、Xがどのように脱落膜化関連遺伝子を調節しているかを検討したところ、脱落膜化におけるエピゲノム変化調節に関連する遺伝子発現の多くを制御していることがわかった。我々はこれまで、脱落膜化によりエピゲノム状態が劇的に変化することを報告しているが、Xはそれをも統括するマスター遺伝子であることが示唆されており、詳細な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分なゲノムワイド解析ができており、また重要な転写因子の同定とその脱落膜化への関与が示唆されているから。
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Strategy for Future Research Activity |
転写因子Xのエピゲノム制御への関与を探るために、Xが遺伝子発現とエピゲノム状態を制御する遺伝子について詳細な解析を行う。これにより、Xのマスター遺伝子としての重要性をエピゲノムの観点からも証明していきたい。
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Causes of Carryover |
2018年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更により、900854円の未使用額が生じた。この未使用額については2019年度の実験試薬の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)