2020 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部がん治療における新たなる免疫化学療法の開発- CTLと抗がん薬併用の意義
Project/Area Number |
17K11412
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
小川 徹也 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40334940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 和宏 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 特務教授 (60109759)
鈴木 進 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70518422)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫学 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
(はじめに)抗がん薬治療と免疫治療が併用されている現在、両者が如何に影響し合っているのかを知ることは重要である。また、抗がん薬治療のみならず、手術と免疫治療の兼ね合いも、術後あるいは術前に免疫治療が行われる現在、その関係性についても検討を行うことが重要である。(対象と方法)平成29年度から令和2年度で、抗がん薬治療と免疫治療との関連性についてさらに検討した。さらに、同時期において頭頸部癌手術標本(原発腫瘍、転移ありリンパ節、転移なしリンパ節、末梢血リンパ球)における、制御性T細胞の発現をフローサイトメトリー法で検討した。(結果) 白血球数、リンパ球数は全ての症例で低下する傾向を認めた。CD4は症例で変化にばらつきが見られた。CD8は全ての症例で低下した。頭頸部癌手術標本の検討では、原発腫瘍と転移ありリンパ節の制御性T細胞は同じ程度で高値であったが、転移なしリンパ節と末梢血リンパ球では同じ程度、低値であった。転移ありリンパ節は、有意に転移なしリンパ節より制御性T細胞が高値であった。(考察)抗がん薬治療と免疫治療の併用検討では、抗がん薬治療が腫瘍免疫に重要な役割を果たすCD8陽性T細胞を減少させる可能性を示唆した。今後、抗がん薬治療と免疫治療を併用する場合には、制御性T細胞を減少させるがCD8陽性T細胞は維持するような方法を考慮する必要がある。さらに転移ありリンパ節は、有意に転移なしリンパ節より制御性T細胞が高値であった。免疫治療を行う場合、転移なしリンパ節は温存しながらも転移ありリンパ節は確実に郭清する、新たなる免疫学的頸部郭清を考える必要があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株を用いての、腫瘍免疫と抗がん薬との関係性の検討はやや遅れて結果を得ている。しかしながら実際の、抗がん薬投与前後、経過中の採血を用いての免疫学的検討は概ね順調に進んでいる。さらに、手術標本を用いての、腫瘍免疫状態主に制御性T細胞に関しての検討では、論文化もされ実績がある。今後更に1年を用いて効率的に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的に抗がん薬や放射線治療が効かないとされている頭頸部腺癌について、細胞株を作製した。舌根由来の腺様嚢胞癌である。この手術時細胞株を作製すると共に、この症例が手術後、気管孔周囲に再発をした。この段階でも細胞株を作製、現在両細胞株を用いて、抗がん薬治療と免疫治療に関して検討を行っている。これを進め、本科研費の成果としたい。
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Causes of Carryover |
当該研究を進めるに当たり、臨床医である研究代表者は2020年におけるコロナ感染の状況で、臨床業務に多忙が生じた。結果、使用額と使用計画との間に差が生じる結果となった。本年度はこの点を踏まえ、しっかり研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)