2019 Fiscal Year Annual Research Report
Protection of corneal endothelium using hydrogen in cataract surgery
Project/Area Number |
17K11437
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高橋 浩 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00188046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 勉 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10421190)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 白内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
白内障超音波乳化吸引術 (PEA)における角膜内皮障害の原因としてフリーラジカルの関与が示唆されてきた。我々は、模擬眼を用いたPEAシュミュレーションに おいて超音波発振により フリーラジカルの中でも最も酸化力の高いヒドロキシラジカル(OH・)が発生することを電子スピン共鳴法 により証明し、さらに動物 モデルを用いて、角膜内皮細胞障害が酸化ストレスにより起こることを示した。PEAは前房内で超音波発振が行われるため、そのエネルギーにより OH・は不可避 的に発生するが、我々の検証により実際に角膜内皮細胞が酸化ストレス障害を受けることが明らかとなった。内眼手術の中でも最も件数の多い PEA の組織傷害 因子として活性酸素種、特にOH・が重要であることを確認し、内眼手術と酸化ストレスの関連を考える契機となった。 そこで我々は、OH・をトラップする水素ガスを眼内灌流液に溶解し、ウサギで実験を行ったところ、有意に角膜混濁を低下させ、酸化ストレスマーカーである 4HNEや8OHdGを低下させることに成功した。 日本医科大学薬物治験審査委員会の許可を得て、核硬度の高く、超音波発振時間が長くなると予想される患者に対して、水素含有眼内灌流液の使用により、角膜内皮保護が可能か臨床研究をスタートした。エメリー3.5以上の核硬度の高い症例に対して、片眼に水素含有眼内灌流液を使用し、僚眼に通常の眼内灌流液を使用した。術式は全例、ソフトシェルテクニックとDevide & Conquer法で行った。結果として総エネルギーの指標であるEffective phaco time (EPT)は両群に有意な差はなく、同程度の超音波発振を行った。術後の角膜内皮細胞数を検討したところ、術翌日から水素群において角膜内皮細胞の減少率は抑制されており、水素含有眼内灌流液は角膜内皮細胞障害抑制に有効であった。
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