2018 Fiscal Year Research-status Report
重症未熟児網膜症に対する抗血管内皮増殖因子治療の検討
Project/Area Number |
17K11440
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
日下 俊次 近畿大学, 病院, 教授 (60260387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國吉 一樹 近畿大学, 医学部, 講師 (30234470)
杉岡 孝二 近畿大学, 病院, 准教授 (50399119)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 未熟児網膜症 / 血管内皮増殖因子 / VEGF / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
未熟児網膜症は小児失明原因の第一位を占める重要な疾患である。これまで網膜光凝固による治療が標準的治療法として行われてきたが、重症未熟児網膜症では、適応外使用であるが抗血管内皮細胞増殖因子(抗VEGF)薬であるbevacizumab を硝子体内投与する抗VEGF 治療が注目されている。しかし、bevacizumab 投与により血清VEGF 濃度が長期間低下することが報告され、全身的な影響が懸念されている。我々は成人例での解析結果から血清VEGF 濃度抑制効果がbevacizumab より弱いと報告されているranibizumab を未熟児網膜症治療に用いてきた。今年度はranibizumab投与による治療症例をさらに集積すること、短期的な治療経過の現在までのデータの解析を進めた。その結果、これまでにranibizumab硝子体内投与を行った18例35眼において治療効果は全例でみられたが、7眼(20.0%)で病状の再燃がみられた。再燃あり、再燃なし症例を比較すると前者ではranibizumab硝子体内投与を行った時期が有意に早かった(修正34.3週 vs. 同37.9週、P=0.037 Mann-Whitney Rank Sum Test)が、それ以外の出生体重、出生週数、性別、投与前の治療法等には差を認めなかった。今後、さらに症例の集積を進め、患児から採取した血清のサンプルを用いたデータ解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗VEGF治療の適応となる重症未熟児網膜症例が漸減傾向にあるが、これまでに18例35眼の症例に対してranibizumab硝子体内投与を施行できたので、概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、重症未熟児網膜症に対する抗VEGF治療としてranibizumab投与を続ける予定である。今後は研究計画に従い投与量を0.1mg に変更して、治療効果、再燃する症例の割合を検討したい。来年度にサイトカインの解析作業を一気に行う予定である。
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Causes of Carryover |
ranibizumab使用例が想定より少なかったこと、学会旅費を算定しなかったこと、3年目目にサイトカインの解析をまとめて行う事にしたため、当初の計画案の予算配分とは齟齬が生じたことなどが理由であるが、3年目に残額を全て使用する予定である。
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Research Products
(1 results)