2018 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1感染による血液眼関門の破綻機構の解析と分子標的療法の開発
Project/Area Number |
17K11476
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鴨居 功樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40451942)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HTLV-1 / ぶどう膜炎 / ATL / 眼浸潤 / 血液眼関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトT細胞白血病ウイルス1 型(HTLV-1)はHTLV-1 ぶどう膜炎、成人T 細胞白血病(ATL)関連眼病変眼の原因となる。HTLV-1感染細胞が眼内に浸潤すると眼内で様々な反応を引き起こすことによって、特徴的な眼所見を呈する。HTLV-1感染細胞が浸潤する際に、血液眼関門を形成する眼組織との関わりを中心に解析した。ぶどう膜炎を起きる際(血液眼関門が破綻する際)に眼組織側で重要な役割を果たすのが網膜色素上皮細胞であるため、末梢血由来のHTLV-1 感染細胞株(MT-2)と眼組織の由来の網膜色素上皮細胞株(HRPE)を用いて感染実験を行ったところ、網膜色素上皮細胞株にHTLV-1ウイルスが感染することが示唆された。血液眼関門に関与する眼組織に感染することで重要な役割を果たすサイトカイン・ケモカインはIL-6、CCL2、 CCL5、 CXCL8であることが網羅的サイトカイン測定によって明らかになった。また、HTLV-1ぶどう膜炎には続発して緑内障が起きる頻度が高いため、眼内に浸潤したHTLV-1感染細胞が線維柱帯においてどのような役割を果たすか検討した。HTLV-1 感染細胞株(MT-2)と線維柱帯細胞株(HTMC)を用いて感染実験をおこなったところ、線維柱帯にHTLV-1ウイルスが感染することが示唆された。さらに、その感染によって線維柱帯細胞の膨大と増殖がみられることが明らかになった。隅角局所で重要な役割を果たすサイトカイン・ケモカインはIL-6、MCP-1、CXCL8、IP-10であることが明らかになった。このように、眼組織にHTLV-1が感染することによる破綻機構の一端を解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTLV-1が眼組織に感染するという観点、つまり眼組織側から血液眼関門の破綻メカニズム解析を進めることができたため、これまでの眼内に浸潤したHTLV-1感染細胞の機能解析だけではなく、より一歩踏み込んだ違う角度からの研究を遂行することができた。また、HTLV-1感染者に起こるぶどう膜炎以外の眼合併症に関しても、眼組織側からの検討によって、その発症メカニズムに新たな知見を加えることができた。これらの研究によって治療に繋がる分子標的が明らかになりつつあり、研究の進捗状況としては概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、HTLV-1感染による血液眼関門の破綻機構について、1)眼内浸潤したHTLV-1感染細胞側からの検討、2)眼組織側からの検討、の両方面から取り組んでおり、順調に進んでいると考えられる。これらの検討を更に進め、HTLV-1感染細胞側/眼組織側の双方にとって共通に重要である分子について網羅的・統合的に解析を進め、分子標的薬の開発を推進していく。
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Research Products
(14 results)