2017 Fiscal Year Research-status Report
短期的電気刺激による無細胞化神経への端側神経縫合を用いたシュワン細胞付加の可能性
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17K11550
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉澤 秀和 順天堂大学, 医学部, 助教 (10512593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 教授 (10365645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 端側神経縫合 / 神経再生 / シュワン細胞 / 人工神経 / 短期的神経刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は軸索が蛍光発色するトランスジェニックマウス保有し、軸索再生を経時的に観察するLive imaging を行うことが可能であり同様に、幼弱化シュワン細胞が蛍光発色するnestin-GFP mouse を用いることで、Donor 神経に少なくとも軽微な損傷を加えることで多くのシュワン細胞の遊走が無細胞化神経内に観察され、特に移植神経の両側端をDonor 神経へ端側神経縫合を行なった群でさらに豊富なシュワン細胞が短期間に遊走し移植神経全域へ充填することに成功している。さらに、シュワン細胞の活性化を促進させる可能性として、既に臨床応用されている短期的電気刺激の末梢神経再生促進作用はすでに1930 年台から報告されている。2000 年にMajed らが1 時間20Hz での短回刺激によって運動神経再生の促進作用やその過誤支配の予防に効果的であると報告している。すなわち、我々が報告してきた無細胞化神経を端側神経縫合によるシュワン細胞供給法と短期的電気刺激によって刺激を加えない場合に比べシュワン細胞の遊走促進作用が認められれば、今現在課題とされている、自家神経移植の代替材料として用いることが可能であり、さらに本邦で使用可能な神経再生誘導チューブであるNerbridgeR に用いて本法を確立することを目指している。 しかし、当施設の遺伝子組み換え動物の研究施設の改修工事が行われることとなり、上記モデルが作成困難な状況となった。そのため、一度繁殖していたマウスを凍結受精卵の状態にする必要に迫られた。また、時期を同じく他施設へ出向となったため、凍結受精卵を孵化させ出向先にて遺伝子改変マウスを飼育する手続きが完了する段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験計画で遂行予定であった初年度での我々の報告した1cm 長及び倍の2cm 長の無細胞化神経移植モデルにおける短期的神経刺激によるシュワン細胞遊走に与える影響についてin vivo imaging およびwhole mount imaging により形態学的評価および遊走関連蛋白について検討を行なう予定としていたが、本邦で入手可能な人工神経が2つ(Nerbridgeとリナーブ)となった現状もあり、それぞれを用いて短期的神経刺激の有無と人工神経の長さを1㎝、2cmでそれぞれモデルを作成し、シュワン細胞を付加するhybrid人工神経を作成するにはどちらの人工神経がより適しているかを検証していく。さらに、得られる軸索再生に関する経時的な評価や再生軸索を電子顕微鏡や光学顕微鏡下といった形態学的評価やEDL のendplate における神経再支配率などを行なうと共にシュワン細胞輸送関連因子および長い移植神経内においてはシュワン細胞の老化現象についても評価を合わせて行なっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究施設の工事や出向の影響で研究に大きな遅れが出ている。平成30年度は初年度の遅れを取り戻すため、蛍光発色しないNestin-GFP マウスの坐骨神経へ人工神経(NerbridgeRもしくはリナーブR)を今までに明らかにしたシュワン細胞遊走に最適であった両側端側神経群を中心に端側神経縫合3 群に新たに長い移植神経群を加えた4 群(group1:コントロール群;Donor 神経と接さないように移植し、両側端を筋肉内に埋入する、group2:片側端側神経縫合群;移植神経の片端をDonor 神経に端側神経縫合を行なう、group3:両側端側神経縫合群;group2 を両側端に行なう、4 群:長い端側神経縫合群(2cm))を作成する。さらに、各群には移植直後にMajed らの報告を参考に中枢側に短期的神経刺激器を用いて電気刺激の周波数20Hz、電気Pulse0.1msec、最大電圧3V で1 時間刺激とするモデルも併せて作成することで、短期的神経刺激によってシュワン細胞が人工神経内を遊走することが促進されるのかの比較が行え、また可能であれば2種類の人工神経においての比較も行うことができる。その後は、7 日毎に吸入麻酔下にlive imaging の手法で遊走シュワン細胞を観察し遊走距離を測定する。移植後2 週、4 週、6 週後に検体を採取し、各time point でRT-PCR でシュワン細胞遊走関連因子(NRG1,ErbB2,S100)やシュワン細胞老化因子(p16INK4a)の発現量の変化やS100(シュワン細胞)、Neurofilament(再生軸索)、β-galactosidase(老化細胞)抗体における免疫染色での無細胞化神経内の分布を評価、解析する。
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Causes of Carryover |
次年度の研究費予算は80万で、研究運用費としては40万を予定している。その内訳としては、トランスジェニックマウスの繁殖や飼育代に10万、薬品・試薬・抗体類・備品の追加購入に10万、免疫染色や共焦点レーザー顕微鏡などの標本作成費に10万、モデル作成時の神経縫合に必要なマイクロ縫合糸の購入に10万の計40万を消耗品費として予定している。 そして、当研究内容の成果に関しては適宜学会での経過報告を予定しており、そのための学会への参加費や、また同じ末梢神経再生分野での更なる新しい知見を深めていくため、国内外の形成外科学会の基礎学会や末梢神経関連の学会への参加を予定しておりその旅費や通信費に残りの予算の40万の使用を予定している。
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