2021 Fiscal Year Research-status Report
新たな根面う蝕治療に向けたバイオアクティブ材料とナノテク材料の応用
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17K11695
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 享 北海道大学, 大学病院, 講師 (90179771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 考績 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (90222885)
田中 佐織 北海道大学, 大学病院, 講師 (90344522)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / 歯髄の再生保存 / 白金ナノコロイド / MTAセメント |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き根面う蝕の感染歯質除去中の偶発的な露髄に対して、より確実な歯髄の再生保存を目指し露髄面への処理材の研究を行った。処理材として抗酸化作用、触媒作用、抗炎症作用、血管誘導能、抗菌タンパクの発現作用があるとされている白金ナノコロイドを3種類用いて以下の実験群を設定した。PAA-PT群(白金、ポリアクリル酸、水)、C-PT群(白金、クエン酸ナトリウム、水)、C-CYD群(白金、クエン酸ナトリウム、γ-シクロデキストリン、水)。さらにMTAで処理したMTA群、露髄面に処理材を用いないSB群を設定し、合計5群とした。ラット上顎臼歯の歯髄を露髄させ、5群各々の処理を行い4META/MMA-TBBレジンで露髄面を覆った。処置後1、3、7日での歯髄反応をHE染色した組織標本で評価した。1日目では、白金ナノコロイドを用いた3群すべて(PAA-PT、C-PT、C-CYD群)で炎症反応がほとんど観察されず、観察されても軽度の反応であった。これら3群に比べてMTA群およびSB群は炎症反応が強い傾向が認められた。3日目では、C-CYD群において炎症反応を認めないかあるいは軽度の炎症反応が認められ、さらに多数の血管が観察された。これは活発な血管新生を示唆している。一方、MTA群、SB群では血管新生はほとんど認められなかった。また、PAA-PT群およびC-PT群は軽度から中等度の炎症反応が認められ、C-CYD群よりも低いが血管新生も認められた。7日目では、C-CYD 群、MTA群の炎症反応はあっても軽度であり、血管新生はより活発であった。PAA-PT群、C-PT群は軽度から中等度の炎症反応が観察され血管新生も認められた。SB群は中等度から重度の炎症反応を示し、血管新生はほとんど認められなかった。C-CYDは露髄面への処理材としての可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度と同様に必要な被験歯としてのヒト抜去歯の確保が難しい状態が続いているため、本年度まで研究期間を延長した。期間延長を行ったため、ある程度の被験歯の確保にめどがたったが実験の施行までには至っていない。また、研究環境も十分確保されなかったため、さらに研究期間を延長して継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き確保できた被験ヒト抜去歯を用いて、本年度再構築した研究計画に基づいて実験を遂行する。また、新たにラット歯髄の病理組織標本を作製することおよび既に作製された標本も含め歯髄再生のより有効な評価法を探索し、効果的な歯髄再生法について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた研究が遂行できず、残額が生じた。残額にて本年度に遂行できなかった研究を次年度に行う予定である。
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