2019 Fiscal Year Research-status Report
骨形成作用を有する抗DKK-1抗体の効果メカニズムの解明
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17K11753
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 美穂 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20271059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正久 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (20223274)
宮城 麻友 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20625719)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗DKK-1抗体 / TNF-α / 骨粗しょう症モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
抗DKK-1抗体の効果メカニズムを解明することで、新たな骨粗鬆症治療薬、骨形成、骨補填剤としての可能性を探索する。骨代謝に関連するWnt/βカテニンシグナルは、骨細胞、骨芽細胞から産生されるDKK1により阻害され、骨芽細胞の分化抑制、破骨細胞の形成促進が報告されている。抗DKK-1抗体はWnt/βカテニンシグナルを阻害しないため、骨形成作用を有すると考えられる。しかしながら、抗DKK-1抗体の骨髄でのメカニズムについてはあまり知られていないのが現状である。 細胞増殖能実験において、抗DKK-1抗体およびrTNF-αの骨髄細胞への影響は認められなかった。一方、細胞分化能実験において、ALP活性は抗DKK-1抗体の投与群はコントロール群と同程度の分化能を示した。μCT解析において抗DKK-1抗体投与群で骨量の増加が認められ組織学的に骨量増加と破骨細胞の減少傾向が認められた。 本年度は、骨粗しょう症モデルマウスを抜歯した後の顎骨の変化、骨形成、骨破壊について検討した。抗DKK-1抗体投与によって、長管骨成長板付近での骨量の差が認められた。しかし、TRAP陽性細胞である破骨細胞の差は認められなかった。顎骨においては、組織学的に、抗DKK-1抗体投与群において、炎症細胞浸潤、破骨細胞浸潤が認められ、抜歯窩の治癒が促進された。また、マイクロCTを用いて骨量解析を行ったところ、抗DKK-1抗体投与量の違いにおいても検討したが、骨量の有意な差は認められなかった。 骨粗しょう症マウスにおいて、抗DKK1抗体投与により、骨吸収の抑制ではなく、骨形成の促進によって骨量が増加した可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨粗しょう症モデルマウスを作製し、形態学的、組織学的検討を行った。μCTを用いて、形態学的検討、骨量測定を行い、組織学的に、ヘマトキシリンーエオジン染色、破骨細胞を染色するTRAP染色、各種免疫染色を行った。 組織学的に骨形成量、破骨細胞数の変化、抗DKK-1抗体の投与量のちがいについての検討も行った。 日本補綴歯科学会第128回学術大会で成果の発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養実験においては、炎症性サイトカイン、幹細胞化の指標となるRNA、タンパクについて、抗DKK-1抗体、TNF-αの影響についてさらに検討を進めていく。また、シグナル伝達経路についても検討を行っていく。動物実験においては、骨粗しょう症モデルマウス、顎骨壊死マウスを作製し、抗DKK-1抗体がどのように作用するかを検討する。また、論文執筆も行う。
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Causes of Carryover |
国際学会発表予定であったが日程が合わず参加できなかったため、次年度への使用が生じた。 今後は、実験のまとめと論文作成に取り掛かり、国際学会での発表を行う予定である。
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Research Products
(1 results)