2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト歯髄幹細胞と感染症への可能性のない魚コラーゲンを応用した歯髄再生療法の開発
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17K11806
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山本 耕平 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (20756407)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 魚コラーゲン / 歯髄再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人獣共通感染症の可能性のない魚コラーゲンを足場材として用い、歯髄除去後の歯髄を再生する、真に細胞生物学的な歯髄治療法の可能性を多面的に解析し、新たな歯髄再生療法の開発を図ることを目的とする。再生医療を推進する上で基礎となる組織再生工学には、細胞、成長因子、足場の3項目が不可欠である。歯科保存学領域において特に歯内療法分野において今回、再生医療の原理・原則を導入した。確実で早期に歯髄欠損修復を進めることは歯の延命化が可能となり臨床上、極めて重要である。具体的な研究項目は、①ヒト歯髄幹細胞の特性の確認②魚コラーゲンを使った足場材の有効性・安全性の証明をin vitro、in vivoの系で検証する。予定であるSCIDラットが入手が難しくその代替実験を考える間、魚コラーゲンの大動物(イヌ)への応用の安全性と有効性を証明する実験を行った。 平成29年度春季学術大会(第146回)にて魚コラーゲンを足場材とした犬における歯髄再生療法をポスターとして共同実験者として発表した。魚コラーゲンが足場材として哺乳類由来のコラーゲンの代替材料として有用であることを示唆した。今後は計画書通りSCIDマウスにてこの魚コラーゲンと人の歯髄幹細胞を使用した実験を考慮していくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画ではSCIDラットにて歯髄再生実験予定であったがやはり入手が難しく代替としてSCIDマウスにて計画を練り直すこととした。SCIDマウスはT・B細胞がないことから、重度の免疫不全を呈し、したがってその異種細胞、組織の移植に対する拒絶が少なく、ヒトの正常造血細胞ですら移植可能であることが報告されている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはSCIDラット同様、術式は、全身麻酔後、通法によって歯髄を除去する。解剖学的にマウスの歯の根尖部は歯周組織から幹細胞の侵入が容易となるように、径0.6mm程度の根尖孔を作製する必要がある。その後、通法によって根管拡大・形成の後、根管洗浄、抗菌薬の根管貼薬を施し、歯冠部は厳重に仮封する。次にヒト歯髄幹細胞を歯髄腔へ注入するための準備を開始する。凍結細胞はクリーンベンチ内で成長因子GCSFと共に魚コラーゲン溶液中へ混和する。混和物20μL程度はカニューレを使い気泡が入らないようマウスの前歯の歯髄腔へ注入する。最後にグラスアイオノマーセメントと接着性レジンで厳重に入口を封鎖する。ただし抜髄することは非常に難しいため背中への人工歯の移植など別のやり方を考慮中である。
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Causes of Carryover |
経費削減に努めた結果残額が生じた。次年度の消耗品に使用する予定です。
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