2018 Fiscal Year Research-status Report
疾患関連分子群の発現制御を基盤とするシェーグレン症候群治療法の開発
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17K11842
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 雅之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20144983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青田 桂子 徳島大学, 病院, 講師 (70437391)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 導管細胞 / 腺房細胞 / シェーグレン症候群 / ケモカイン / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
「唾液腺導管周囲組織へのリンパ球浸潤におけるケモカインの役割に関する解析」において、不死化正常ヒト唾液腺導管細胞株(NS-SV-DC)と腺房細胞株(NS-SV-AC)を用いて以下の結果を得た。(1)唾液腺に浸潤したリンパ球から分泌されたIFNgやTNFaは導管細胞株からのIP-10分泌を促進するが、腺房細胞株からの促進は認められなかった。また、両細胞株にはCXCR3の発現は全く認められなかった。以上のことから、導管周囲へのリンパ球浸潤には導管細胞からのIP-10発現が深く関わっていることが示唆された。(2)シェーグレン症候群モデルマウスに26Sプロテアソーム阻害剤であるBortezomib投与を行い、腺房構造破壊阻止に関与するか否か解析を行ったところ、Bortezomib投与により唾液腺(顎下腺、耳下腺)組織において炎症病変の組織学的gradeの低下が認められた。すなわち、転写因子NF-kBの活性を阻害することにより、腺房構造の破壊を阻止することが可能であり、唾液分泌の低下を改善することができる可能性が示唆された。(3)腺房細胞株をヒストンアセチル化抑制剤(HDACインヒビター)にて処理することにより、腺房細胞におけるAQP5の発現増強が認められた。さらに、シェーグレン症候群モデルマウスにHDACインヒビターを投与することにより、唾液腺組織におけるAQP5の発現が観察され、唾液分泌促進効果が認められた。以上のことより、HDACインヒビターは唾液腺組織において唾液分泌促進に作用することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養唾液腺導管細胞及び腺房細胞を用いて、リンパ球が唾液腺組織に浸潤するメカニズムをケモカインの発現を介して解析できた。すなわち、導管細胞から遊走促進因子であるIP-10が過剰に分泌される結果、CXCR3を発現するリンパ球が唾液腺導管周囲に浸潤することを明らかにした。また、シェーグレン症候群モデルマウスを用いて、BortezomibとHDACインヒビターの唾液分泌促進効果を発揮することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、シェーグレン症候群モデルマウスを用いて、Bortezomib及びHDACインヒビターによる腺房細胞における腺房構造破壊阻止機構及びAQP5発現増強機構について、より詳細な情報伝達機構を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)物品費の支出額が当初予定より少なかったため。 (計画)今年度の実験費用として支出予定である。
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Research Products
(8 results)