2019 Fiscal Year Research-status Report
硬組織微小環境におけるコラーゲン発現調節に関する非コードRNA、転写因子機能解析
Project/Area Number |
17K11848
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員教授 (00222430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
佐々木 隆子 大分大学, 医学部, 助教 (30133193)
矢野 博之 大分大学, 全学研究推進機構, 教務職員 (50448552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 硬組織 / コラーゲン遺伝子 / 非コードRNA / 遺伝子発現調節 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
コラーゲンは体タンパクの約30%を占めるタンパクであり、骨や歯の硬組織ではカルシウム沈着の足場になる。コラーゲン線維は単一の分子からなるのではなく、複数の異なる型のコラーゲン分子及びその他の分子との相互作用により形成されている。それらの分子の中で、私たちは線維形成時の核として働き、線維の直径を調節しているマイナーコラーゲンであるV型やXI型コラーゲンの発現の調節機構について解析してきた。転写レベルにおいては、転写因子であるSp1やCBF/NFYが発現し、メジャーコラーゲンであるI型やII型と共発現するために必要であることがわかった。また、骨芽細胞においてはSp7/Osterixが特異的にV型a1鎖コラーゲン遺伝子に結合し、正に調節していることを証明した。また、この遺伝子においては、そのmRNAの3’UTR領域に非コードRNAのマイクロRNAであるmiR-29が結合し、転写後レベルで抑制されていることを見出した。同様に非コードRNAであるlnc(長鎖非コード)RNAによる発現調節を調べるため、骨芽細胞に発現するlncRNAを調べた。線維芽細胞の発現と比較し、有意に増加或いは減少するlncRNAを同定した。今回、MC3T3-E1(骨芽細胞由来)を分化させてlncRNAの発現の変化をみた。MC3T3-E1にグリセロリン酸を添加し、21日間培養し、分化させた。骨化マーカーとしてオステオカルシンを用いた。その結果、線維芽細胞より低値であった3種類のlncRNAは分化により増加した。逆に線維芽細胞より高値であった3種類のlncRNAは低下した。しかし、1種類のlncRNAはさらに増加した。これらの結果は骨化におけるlncRNAの作用の多様性を示しており、今後、骨化におけるコラーゲン遺伝子等に対するlncRNAの調節機構を解析し、転写因子、マイクロRNAとの相互作用を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、骨芽細胞における非コードRNAのlnc(長鎖)RNAの発現を中心に行ってきた。未だ、これらによるコラーゲン遺伝子の調節機構との関連には至っていない。やや遅れているために1年間の研究期間の延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究を展開し、lncRNAとマイクロRNA、転写因子との相互作用を解析し、硬組織の微小環境をつくり出しているコラーゲンを始めとする細胞外マトリックス分子の重要性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
物品として考えていた培養関係の消耗品やキット類の購入が少なかったことや、新型コロナにより中止になった学会があり、その分、旅費がかからなかった。また、予定の人件費、謝金がなかった。
これらの費用は遺伝子工学用試薬、培養用の血清や物品、動物購入・飼育費、その他の一般試薬の物品費、関連学会(日本結合組織学会、日本生化学会、日本分子生物学会等)の旅費、人件費・謝金や論文英文添削・投稿料等にあてる予定である。
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