2021 Fiscal Year Research-status Report
硬組織微小環境におけるコラーゲン発現調節に関する非コードRNA、転写因子機能解析
Project/Area Number |
17K11848
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員教授 (00222430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
佐々木 隆子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30133193)
矢野 博之 大分大学, 研究マネジメント機構, 教務職員 (50448552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非コードRNA / コラーゲン遺伝子 / 硬組織 / 遺伝子発現 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスクリプトームの解析によりタンパクをコードしない多数の非コードRNAが存在し、多様な細胞機能に関与することが分ってきた。長年、私たちは硬組織に重要な機能を持つコラーゲンの発現調節について解析してきた。骨芽細胞には多くのコラーゲン分子が発現し、骨組織では会合体であるコラーゲン線維を形成している。私たちはこれらのコラーゲン遺伝子が転写因子Sp1や骨芽細胞特異的因子Sp7/Osterixによって調節されていることを報告してきた。さらに、V型コラーゲン(量的には少ないがコラーゲン線維の直径を調節し、その遺伝子欠損マウスは致死性で形態形成に必須である。)の遺伝子調節には、非コードRNAの一つであるマイクロRNA(miR)のmiR-29がこのコラーゲンのmRNAに結合し発現を低下させることを見出した。最近、miRより多数存在する非コードRNAである長鎖非コード(lnc)RNAがmiR同様に転写後の調節していることが報告されており、現在、コラーゲンの発現に関与するlncRNAに関する研究を進めている。現在までマウス(MC3T3-E1)、ヒト(Saos-2)骨芽細胞を使って、コラーゲンの発現に関与するlncRNAの候補を複数同定した。今回、ヒト骨芽細胞を使用して、b-グリセロールリン酸で細胞を分化させ、7日間培養し、3種類のlncRNAについて解析した。その結果、いずれのlncRNAも骨分化につれて、発現量が増加し、各特異的なsiRNAにより、発現が阻止された。同時に、Ⅰ型コラーゲンは骨分化により発現が増加するが、各lncRNAに特異的なsiRNAにより、a1鎖、a2鎖共にその発現が阻止された。今後、これらのlncRNAとコラーゲン遺伝子やmRNAの相互作用、或いはmiRを介した作用等について解析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、長鎖非コード(lnc)RNAに関する実験を行っているが、新型コロナの影響で、直接、研究打ち合わせをする機会が少なくなり、連携が少し滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
長鎖非コード(lnc)RNAとコラーゲン遺伝子やそのmRNAとの相互作用、或いは関与するmiRを同定し、その相互作用を解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、試薬や培養関係の消耗品費が少なく、学会参加のための旅費の使用が無かった。残額はコラーゲン発現調節に関与する非コードRNAの機能解析実験のために、遺伝子工学用試薬、細胞培養関係の費用、動物購入費や飼育費に充てると共に、関連学会の旅費、論文の英文添削・投稿料等に充てる予定である。
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