2017 Fiscal Year Research-status Report
舌骨上筋群の脂肪化が嚥下機能に与える影響-画像診断を用いた検討-
Project/Area Number |
17K11927
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
本田 公亮 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50199569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 泰治 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10792476)
安藤 久美子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60289064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 舌圧 / 高齢者 / サルコペニア / 嚥下障害 / 舌筋 / 舌骨上筋 / 嚥下機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 嚥下機能の低下が疑われる65才以上で、嚥下障害問診票EAT-10にて3点以上の在宅高齢者を被験者とした。ただし、脳血管疾患および神経筋疾患のある者は除外した。MRI(3.0MAGNETOM Skyra 3.0T, SIEMENS社)を用いてシーケンス T1SPACE, およびT1vibe Dixon法にて舌筋(内舌筋、外舌筋)を撮像後、画像解析ソフト(Osirix, Newton Graphic社)を用いて舌筋の総体積および脂肪組織の体積を測定した。舌圧測定器(JMS社)を用いて①最大舌圧(kPa)、②舌圧産生の平均速度(kPa/秒)、③舌圧産生の85%速度(kPa/秒)、④舌圧産生の瞬間速度(kPa/秒)について測定し、サンプリング周波数20Hzで記録した。①~④と、舌筋の体積、脂肪組織の体積との相関性について統計分析した。その結果、本研究における被験者の舌筋の平均体積は66.8(±12.3)cm3、脂肪組織の体積は10.6(±3.8)cm3であった。舌筋の総体積と、そこから脂肪組織の体積を除いた除脂肪体積は、舌圧を産生する際の瞬間速度と高い正の相関関係を示した。 ② 次に最大舌圧、開口力,頭部挙上時間を計測した。上記①に示した舌筋に加え、舌骨筋の面積およびMRI矢状断面で咽頭収縮筋の筋壁の厚さを①と同様にMRIで撮像した画像データから測定した。その結果、平均開口力は4.8±2.9 kg、頭部挙上時間は31.9±29.2秒であった。舌骨上筋群の平均面積は2.9(±1.1)cm2、咽頭収縮筋の平均厚さは0.3±0.1㎝、咽頭腔の平均面積は4.5±1.8 cm2であった。筋量と筋力の関連を検討すると、舌筋と最大舌圧,開口力,頭部挙上時間に正の相関を認め、咽頭収縮筋の厚さも最大舌圧で正の相関があった(p<.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通り進行しているが、バイアスが出ないように被験者を集めるのに難渋した。また対象となる筋を当初は「舌骨筋」としていたが、ダブルブラインドで面積を測定していても、測定者によってバイアスが生じやすくなり、データが安定しなかった。そこで主に対象とする筋を「舌筋」にして研究を行っていった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向性は、29年度の内容で問題がないと考え、被験者数をさらに増やすようにしていく。また対照とする健常者についてもある程度の人数(15~20名)を確保し、同様に舌、舌骨上筋の筋量と筋力を測定することで、患者群と比較検討していく。
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Causes of Carryover |
29年度の主要な物品として、鼻咽腔ファイバースコープと、それに付随するカメラキットの購入を予定していたが、購入前に実際に試用してみると、再現性のある検査位置で嚥下機能を評価することが難しく、結局、嚥下機能造影検査で嚥下機能を評価することになった。舌圧計などについても検討したが、既に本研究で使用している舌圧計よりも優れた物が見当たらなかった。30年度は、健常者を対象としたコントロール群での研究で多くのボランティアを公募し、研究を進めていく予定である。従って舌圧計や開口力測定器の追加購入を予定している。加えて謝金についても当初の予定よりも多く必要となることが予想されるので、次年度において使用する予定である。
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