2021 Fiscal Year Research-status Report
転写因子MITFの咀嚼筋発達過程における役割と発育不全に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K11977
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝田 芳信 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20184145)
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
大貫 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50288114)
奥村 敏 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60233475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼筋発達過程 / MITF |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では、小眼球症関連転写調節因子Mitf (Microphthalmia-associated transcription factor) 遺伝子の変異が咬筋の酸化ストレスに及ぼす影響について詳細に解析した。12週齢雄のmi/miおよび野生型(WT)マウスの咬筋の筋線維横断面積(Cross sectional area ; CSA; μm2)、線維化、アポトーシスについて、組織学的解析をおこなった。また、酸化ストレスマーカーである8-hydroxy-2’-deoxyguanosine (8-OHdG) 染色により、8-OHdG陽性細胞の割合を算出した。さらに、ウエスタンブロッティング法を用いて、酸化ストレスに関連するシグナル因子であるNicotinamide adenine dinucleotide phosphate oxidase 2, 4 (NADPH oxidase 2, 4 ; Nox2, 4)の発現レベルについて解析した。 組織学的解析によりWTと比較してmi/mi咬筋では線維化領域の増加(p<0.01)とアポトーシス陽性筋細胞(p<0.01)の割合の増加がみとめられた。さらに、酸化ストレスの促進因子である8-OHdG陽性細胞の割合はWTと比較し、mi/miでは有意に増加した(p<0.01)。加えて、酸化ストレスのシグナル因子であるNox2については、WTと比較し、mi/miでは有意に増加したが(p<0.01)、Nox4では有意差はみとめられなかった。以上の結果により、mitf変異は骨格筋(咬筋)の組織リモデリング(肥大、線維化、アポトーシス)を誘導し、そのメカニズムの1つとして酸化ストレスの上昇が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施期間中に、新型コロナウイルスの感染拡大による感染予防措置により予定していた実験を行うことが一時期困難な状況になったために実施期間を延長したが、期間を延長することで、当初の計画に追いつくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(令和4年度以降)は、本年度と同様にmitf遺伝子変異マウスを用い、mitf遺伝子が咬筋の線維化およびアポトーシスを誘導する分子機序について解析を進める。また、酸化ストレスによりリモデリングが誘導されたことから、これらに関連するシグナル因子について詳細に解析する予定である。また、得られた研究成果は、関連学会における発表と学術雑誌への論文投稿を通して発信する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、当初開催予定であった第59回日本小児歯科学会大会(鹿児島)がWEB開催、第63回歯科基礎医学会学術大会(神奈川)がオンライン開催集会開催なったこと、また、有効な抗体の選定に時間がかかり、抗体購入を次年度に持ち越すことになったため、次年度使用額が生じた。次年度は、咬筋における酸化ストレスレベル機構を解析する実験を計画しているため、解析用の抗体・試薬の購入費や成果発表・論文作成に必要な経費としとして使用する予定である。
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Research Products
(6 results)