2018 Fiscal Year Research-status Report
インプラントメインテナンスでの低濃度フッ化物による創傷治癒の分子機構の解明
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17K12028
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 一成 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (60205010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中性低濃度フッ化物応用 / 中性高濃度フッ化物応用 / 徐放性フッ化物イオン / 低温焼成型吸収性合成ハイドロキシアパタイト / TOYOビーグル犬顎骨 / 創傷治癒過程 / Runx2 mRNA発現 / Osteocalcin mRNA発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度では約24月齢ビーグル犬9頭の下顎両側臼歯部を抜歯後、18~20週経過後に実験に用いた。下顎骨欠損部両側に円筒形状人工欠損(φ3.5x7.0 mm)4箇所を形成し、右側を非埋入側、左側を埋入側とした。埋入する低温焼成型吸収性合成ハイドロキシアパタイト(HA)は、前処理として低濃度F(0.2%NaF)あるいは高濃度F(4%NaF)溶液を3分間作用させてDW 100mlにて水洗した。異なるF濃度のHAと、F溶液未処理HAを各1頭の左側4箇所に埋入し、4日(4D群)、7日(1W群)、14日(2W群)後に再切開して埋入物質を採取した(非埋入側人からも骨様物質採取:対照群)。またポジティブコントロールとして、他の3頭にβ-TCPを同様に埋入した。採取物質は病理組織像切片をHE染色にて観察した。また免疫組織染色法と定量PCRにて、転写因子Runx2とOsteocalcinの発現を検討した。 HE染色では、4D群においてF処理の埋入HA形態と大きさに変化はみられなかったが、F溶液未処理は埋入HA辺縁の溶解を認めた。1W群と2W群の低濃度Fにおいて、埋入HAの周囲に多くの新生骨と骨芽細胞を認めた。Runx2とOsteocalcinの免疫反応では、両転写因子が4D群と1W群の骨補填材界面に出現し、2W群においても両者の沈着を認めた。とくに非埋入側に比較してRunx2 mRNAは1W群でピークに達したが、4D群、1W群、2W群のすべてで有意に増加した(P<0.05)。またOsteocalcin mRNAは経時的に徐々に増加し、2W群でピークに発現した(P<0.05)。免疫組織染色標本と定量PCRの評価では、低濃度Fは高濃度Fに比較して良好な結果を示した。 低濃度Fによって誘導されたRunx2とOsteocalcinのmRNA発現は、骨に特異な基質を生成し、石灰化を促進すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下顎骨埋入処理を鑑み、日本白色雄性ウサギからTOYOビーグル犬(雌)に実験動物を変更した。しかしながら、同一月年齢のTOYOビーグル犬の確保に時間を要し、以下の進捗状況にあって、当初の計画よりやや遅れている。 抜歯後のTOYOビーグル犬にて、F未処理のHA、低濃度Fあるいは高濃度F応用後のF処理HA(またはポジティブコントロールとしてβ-TCP)を埋入し、4日、7日、14日経過後における、HA埋入後の骨欠損部から採取した新生骨用物質について、現在、免疫組織化学染色法によって、HAからの徐放性FイオンによるFOXO1、MMPs等のタンパク発現を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、HA埋入後の骨欠損部から採取した新生骨用物質を解析中である。その後、歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、歯根膜細胞における濃度依存的Fの機能を評価する。Fの骨分化能を評価するために、低濃度Fおよび高濃度Fをコートしたチタン基板を用いて歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞、歯根膜細胞における創傷治癒能を評価する。各群をコートしたチタン基板を6穴培養ディッシュに静置後、MC3T3-E1を基板表面に播種し、培養一定期間(6時間、12時間、24時間、48時間、72時間)ごとにリアルタイムPCR法にてmRNA発現を調べる。 また、平成31年度後期では、濃度依存的Fの骨分化能に対してのin vitro評価を行う。低濃度Fおよび高濃度Fをコートしたチタン基板を用いて、マウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の骨分化能を評価する。各群をコートしたチタン基板を6穴培養ディッシュに静置後、MC3T3-E1を基板表面に播種し、培養一定期間(1日、3日、7日、14日)ごとの細胞数とアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定する。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更から、物品費等の使用額に差異が生じた。平成30年度飼料代の請求(平成30年6月分~)を見込んおり、平成31(令和元)年度に合わせて使用する。
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