2019 Fiscal Year Research-status Report
小児患者の療養環境における熟練看護師の観察眼の解明と医療安全教育への導入
Project/Area Number |
17K12167
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
米田 照美 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (00353037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 智子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (10599666)
伊丹 君和 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (30310626)
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
西岡 靖貴 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (70609734)
安原 治 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (80239772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 危険認知 / 看護師 / 医療安全 / 小児看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度:看護師・看護学生の視線計測と分析 【調査方法】対象者は看護学生(4年生)27名と小児病棟での臨床経験5年以上を有する熟練看護師31名。期間は平成31年4月~令和2年1月。視線計測の項目は危険箇所への注視時間、注視回数、注視移動時間である。観察場面は静止画でA「小児患者のいるベッド周辺の療養環境」とB「小児患者と母親がいるベッド周辺の療養環境」の2場面である。計測はシールドされた個室で視線計測機器(TobiiProグラス2:Tobii社)を装着し一人一回1場面10秒で計測した。計測後に危険箇所とその理由を聞き取り調査した。 【分析方法】視線計測データの解析はTobii Pro Lab (Tobii社)を用いて行い、SPSS.Ver19で統計的分析を行った。 【結果】注視時間は場面Aでは「子どもの手(刺入部)」で看護師が長い傾向(p<0.051)があり、「おもちゃ」では学生が有意に長かった(p<0.01)。「点滴以外の物品」では学生が有意に長かった(p<0.007)。注視回数では「子どもの手(刺入部)」で看護師が多い傾向があり(p<0.076)、「おもちゃ」では学生が多い傾向にあった(p<0.054)。場面Bでは「輸液ポンプ」では看護師が有意に長かった(p<0.003)。「注視回数では「輸液ポンプ」で看護師が有意に多かった(p<0.025)。場面A・Bを合わせた場合では「点滴ルート+輸液ポンプ」で看護師が有意に長かった(p<0.014)。注視回数では「おもちゃ」で学生が有意に多かった(p<0.016)。注視移動時間は場面A「子ども」で看護師が有意に速かった(p<0.046)。 【考察】看護師は学生よりも点滴ルート、輸液ポンプ、子どもの手(刺入部)を注意深く観察する特徴があり、学生はおもちゃなど点滴以外の物品を注意深く観察する特徴があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、看護師と看護学生の視線計測データ収集と分析が実施できた。聞き取り調査内容のカテゴリー化ができている。おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の計画は、看護学生を対象とした視線計測による調査結果を反映した授業の実施と評価である。調査結果から看護学生は看護師と比較して点滴ルートや輸液ポンプへの注意深い観察力が弱い傾向にあることが分かった。今年度はその点を重視した小児看護の医療安全教育を実施と評価を実施できるように取り組みたいと考えている。当初は前期に演習形式でグループワークを取り入れた授業を計画していた。しかしながら、コロナウィルスの影響により、大学での対面授業やグループワーク学習など実施が難しい状況となっている。状況を見ながら、学習方法を変更しながら可能範囲で実施できるように努力したい。
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Causes of Carryover |
データ収集を予定した施設との日程調整がつかず、調査に伺えなかった。他で依頼した施設で分析に必要なデータ数(被験者数)が上回ったためそれにかかる予算を使用しなかった。
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