2019 Fiscal Year Research-status Report
急性期意識障害患者の脳が賦活化する「さする」刺激の効果
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17K12228
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
田中 晶子 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (90424275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | さする / タッチ / オキシトシン / コルチゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:心理的苦痛を軽減する方法の一つとしてタッチングがある。本研究では、背部の触れる(touch)とさする(rub)刺激がストレスを軽減し、快感情を高めるかを、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるオキシトシン及び副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であるコルチゾールの測定から明らかにすることを目的とした。 研究方法:被験者は健康成人20名(平均年齢22±1)とした。以前から研究に取り組み、その結果タッチングの効果として有用な、誰もが簡単にできるタッチングの方法と部位を基にプロトコルを考えた。実施したプロトコルは、安楽枕を使用し側臥位になり、安静6分後、背部に3分間 touchとrub刺激をランダムに実施した。安静時及び刺激直後に唾液を採取し、ELISA法で分析した。 研究結果:コルチゾールはtouchとrub刺激共に0.25μg/dLであり、安静時の 0.28μg/dL と比較し減少傾向を示した。オキシトシンはtouch 刺激時1.05ng/ml、rub刺激時1.46ng/mlでありrub刺激が有意に高かった。 考察:3分間の背部rub刺激は、下垂体後葉から分泌されるオキシトシンの分泌が有意に増回したことから、気持ち良いという身体感覚を与えられる刺激であり、苦痛軽減方法の一つとしての有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、健常者の結果を踏まえた臨床研究を実施する予定であった。立案した研究計画が実施可能な病院の倫理委員会も通り、研究環境は整った。しかし12月頃までは、対象となる脳血管障害に伴う意識障害患者という研究条件にふさわしい被験者がみつからなかった。1月以降は新型コロナウイルス感染症予防対策に伴い、臨床側から臨床研究の実施を断られ、研究が行えない状況となった。現在研究対象者の選択を行うために臨床へ行くことができないため、研究が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症が収束し、臨床研究が実施可能な状況になり次第、脳血管障害で意識障害となった患者を対象とした研究を実施していく予定である。その方法として、健常者で実施した際に有意な効果がみられた方法で実施し、その効果判定として、継続して脳波を測定し、刺激直後に唾液を採取する方法を考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は簡易脳波計及びオキシトシン及びコリチゾール試薬を用いた臨床研究の実施を計画していた。しかし、コロナ感染症対策に伴う病院規制等の影響もあり、対象者がみつからず研究が実施できなかった。そのため、今年度使用予定であった試薬及び簡易脳波計の購入を見合わせた為、次年度のの使用額が生じた。来年度はオキシトシン及びコルチゾールの試薬及び簡易脳波計を購入し、臨床実験に備える計画である。
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Research Products
(1 results)