2019 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケア専門看護職による終末期がん患者の在宅療養移行・継続プログラムの評価
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17K12269
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
番匠 千佳子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 臨床准教授 (10571101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 一恵 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (10210113)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 終末期がん患者 / 在宅療養移行 / 緩和ケア領域の専門・認定看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はプログラム内容に沿った緩和ケア専門看護職への教育とプログラムの共有・修正を行った。9月から非適用群に調査開始。調査は1回目:患者が在宅療養を希望した退院前(入院中)、2回目:退院後2週間目(在宅療養中)の時点で実施した。対象患者の紹介は28名あったものの協力者は12名、そのうち2回目の協力者は4名であった。 平成30年度はこの調査結果をまとめて学会発表した。 1.「在宅移行前における終末期がん患者の症状体験とQOLおよび気分の特徴と関連」結果:対象者(12名)らは在宅移行前に様々な症状を複合的に体験しつつも気分については健常であった。Maslowの自己実現理論に反して、今回の結果からは終末期で「生理的欲求」が満たされてなくても上位の「所属と愛の欲求」や「承認の欲求」等が満たされる可能性が示唆された。また、[だるさ][ストレス][口の渇き]など薬剤での緩和が困難な終末期の症状が医療者との信頼関係に影響する可能性が推測された。 2.「終末期がん患者の在宅療養移行前後のトータルペインと希望の変化」結果:対象者(4名)らは全員退院後一週間程度で症状が増強。特に「痛み」は共通して増強していたにもかかわらず在宅療養中のQOLは維持・向上していた。患者の在宅療養の希望が叶ったことがトータルペインを改善させたと考えられた。以上より、患者の希望を叶えることは、患者を支援するチームが患者を人として尊重したこととなり、終末期であっても患者自身が自らの存在価値を認めることにつながった可能性がある。患者の希望を叶えられるような支援体制や医療者との信頼関係を構築することの重要性が示唆された。今後は在宅移行後の症状増強の理由を明らかにし在宅移行前後の症状緩和への支援を強化すること及び患者のストレッサーと対処を把握し適応に向けた丁寧な支援を行うことが信頼関係の構築に繋がると考える。
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