2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12404
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 講師 (70363570)
小野 光美 大分大学, 医学部, 助教 (20364052)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症専門外来 / 看護実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症専門外来を受診する患者・家族に対して専門性の高い看護を提供するための指針となる看護実践モデルを開発することにある。2017年度は、第一段階研究として、認知症専門外来の看護の実際と課題並びに看護実践上の要素を抽出するために実施する認知症専門外来に所属する看護師を対象とした面接調査および郵送法による質問紙調査の準備をすすめた。 まず、認知症専門外来での看護実践に関する先行研究について文献調査を行った。「認知症専門外来(認知症外来、物忘れ外来)」「看護」等をキーワードに過去5年の文献を検索した。その結果、認知症専門外来の看護師が行った具体的な看護実践の内容やプロセスに焦点をあてた原著論文は見当たらず、実践報告が散見された。実践報告の内容としては、家族の不安や介護負担の軽減への取り組みが主であり、外来での看護活動全般をとらえた研究・資料は乏しかった。文献調査から、認知症専門外来における看護実践として、介護家族の苦悩を受けとめ支えるケアの重要性が示唆されたが、医師の診療の補助、患者本人へのケア、地域や事業所・施設等の専門職連携については未検討であった。 そこで、認知症専門外来での看護活動の全体像を明らかにするために、認知症専門外来において患者・家族に対応している認知症看護認定看護師1名を対象にヒアリングを行った。その結果、認知症専門外来の看護活動として、外来受診につながるまでの相談対応、診察時の問診および各種検査を受ける中で疲労や失敗を最小限にするケア・医師や検査室との調整、患者本人に対して自尊心と安心を支える問診・看護面接、家族の語りを十分に聴くケア、診断告知時の患者・家族の不安を軽減するケア、患者・家族を中心とした地域での支援ネットワークづくりが抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度は、本研究の第一段階研究の前半として、先駆的に認知症専門外来において専門性の高い看護を実践する看護師を対象にした面接調査と全国の認知症専門外来に勤務する看護師を対象とした質問紙調査の準備を行う予定であった。しかし、先行研究や関連する文献を検索する中で、認知症専門外来での看護実践の内容・プロセスに焦点をあてた研究が乏しく、調査の枠組みを決定するには先行研究の検討だけでは不十分であることが明らかになった。そこで、実際に認知症専門外来において看護実践を積み重ねている認知症看護認定看護師にヒアリングを行い、看護活動の全体像を整理した。このように、本調査の準備期間が延長したことにより、調査の実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、認知症専門外来における看護の実際と課題ならびに看護実践上の要素を抽出する第一段階研究を2017年度~2018年度の2年間で行う計画である。2018年度は、2017年度の先行研究および認知症看護認定看護師のヒアリングから整理した看護実践全般の内容を調査の枠組みとし、認知症専門外来における先駆的看護実践者を対象とした面接調査と全国的な質問紙調査の実施に取り組む。 先駆的看護実践者の面接調査の対象については、文献調査等を行う中で、認知症専門外来での看護について報告・執筆の実績がある看護師数名を把握することができた。そのため早急に、所属機関の研究倫理審査および対象者への研究協力の手続きを経た後、面接調査の実施につなげたい。全国的な質問紙調査については、対象となる認知症専門外来(都道府県設置の認知症疾患医療センターおよび一般の医療機関)が約1,500か所であるため、専門家の意見を聞き対象の選定方法や調査依頼手続きについて慎重に検討する。
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