2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者と介護ロボットとの相互交流を促進する看護技術の構造化
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17K12407
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
出貝 裕子 宮城大学, 看護学群(部), 准教授 (40315552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 眞理子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (90168998)
成澤 健 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (90584491)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニケーションスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、認知機能低下と知覚機能低下を併せ持つことの多い認知症高齢者と介護ロボットとの相互交流を促進する看護技術の構造を明らかにすることである。まず、現状における介護ロボットを介在したケアの実態を把握するため、計画しているデータ収集方法で小集団の認知症高齢者と介護ロボットの相互交流に用いられる看護技術や判断の抽出可能か、観察調査のプレテストを実施した。 コミュニケーションロボットを導入している1介護保険施設において、活用場面をビデオ撮影により観察した。記録された場面から、支援者と高齢者の言動を書き起こしてデータとした。記録した場面には、5名の高齢者と4名の支援者が参加した。支援者は看護師、介護職員、リハビリ職員であった。 結果、支援者の行動として抽出されたのは、「ロボットの自然な登場の演出」「興味の確認」「相手にとってのロボットのとらえ方の確認」「会話がはずむ話題やキーワードの探索」「聴力低下を補う言葉がけ」「回想のきっかけづくり」「引き上げるタイミングの見極め」等であった。 以上の結果として挙げられた項目は、一般的に認知症高齢者とのコミュニケーションにおいて活用されるスキルと合致する内容が多かった。その上で、コミュニケーションロボットが存在する場が認知症高齢者からみて、どのような場面であるのか推測しながら、その場にふさわしい応答をすることをしており、相手の世界観に近づくために思考していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、コミュニケーションロボットを日常ケアの中で活用している介護保険施設において、観察調査を実施する予定であった。しかし、コミュニケーションロボットを導入している施設が想定以上に少なく、現実的なサンプリング方法の検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニケーションロボットを使用している介護保険施設における観察調査を実施する。また、インタビュー調査により、エキスパート看護師及び介護職員が高齢者の他者交流を促進するためにしている判断と行動の内容、さらにロボット活用への応用するための判断と行動を明らかにする。ただし、実際にコミュニケーションロボットを活用した経験のあるエキスパートが少ないことが推測されるため、経験のない対象者へのインタビューにおいては実際の活用場面の動画を視聴してもらい、活用可能性を考えてもらう工夫をする。
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Causes of Carryover |
当初計画の進捗が遅れたため、次年度使用額に変更が生じた。当初2018年度に計画していて未完了のエキスパート看護師へのインタビュー調査を2019年度前半に実施し、そこで明らかとなった認知症高齢者のロボットや他者との交流を促進する看護技術を、2019年後半に実践場面で展開し評価していく計画である。
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