2017 Fiscal Year Research-status Report
アルコール依存症者の感情活用能力育成プログラム開発の検討
Project/Area Number |
17K12458
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木原 深雪 九州大学, 医学研究院, 助教 (70515080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 和代 金沢大学, 保健学系, 教授 (60326080)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アルコール依存症 / 感情活用能力 / 回復過程 / ソブラエティ / 自助組織 / 施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコール依存症者は様々な心的防衛機制を示し、複雑でとらえにくい心情をもつ傾向があるため、研究参加者の確かな心情を把握するために、3年間の研究過程は川喜田二郎による累積KJ法にならって段階的に行う。 まず、アルコール依存症者の感情活用能力育成プログラムを作成するための問題提起ラウンドとして、長期間の断酒に成功しているアルコール依存症者の感情活用能力がどのようなものであるのかを明らかにするために、文献や資料の収集を行い本研究課題の現状把握や本質的な問題点について検討を行い、本学倫理委員会にて9月に承認を得た。その後現状把握ラウンドとして自助組織に関与しながら長期間の断酒に成功しているアルコール依存症者のなかで研究参加に同意を得られた2名を対象として半構造化面接を行った。この過程において、将来本研究にて作成したプログラムの実施対象者はアルコール依存症者のための施設に入所あるいは通所している人々であることになり、新たにアルコール依存症者のための施設に関与している人々の感情活用能力を明らかにするための研究が追加となった。追加となった研究に関係する文献や資料を検討し、1月に倫理委員会にて追加した研究の承認も得た。追加した研究については現状把握ラウンドとして1月より同意の得られたアルコール依存症者と施設の運営に関与している職員の合計9名に半構造化面接を行った。 9月に倫理委員会から承認された研究と1月に倫理委員会に承認された研究の2つの研究に、それぞれ今後さらに研究参加者の基準を満たし研究参加に同意を得られた人々を対象に半構造化面接を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルコール依存症のための自助組織に関与し、長期間断酒し続けられている研究参加者のデータや、本研究課題に関連した先行研究や資料から、今後本研究で作成するプログラムを実施する対象となる人々としてアルコール依存症の人のための施設に関与している人々に焦点があたった。アルコール依存症の人々の回復過程は一筋縄にはいかないため、どの段階のアルコール依存症者を対象とするのかを設定しておくことは重要な課題となっていった。対象と考えたアルコール依存症の施設に関与している人々は、病院や矯正施設を出てそのまますぐに地域生活をおくるには再飲酒のリスクの高い人であったり、本気でアルコール依存症から回復していきたいと願っていても病気の性質上うまくいきにくいことを自覚しつつある人々である。しかし現状ではこのようなアルコール依存症のための施設は地域に十分整備されているとはいえず、施設に通いたくても通えない人々も多く存在することが考えられた。本研究において、このようなアルコール依存症の施設に関与する人々の現状を把握しておくことは、本研究に関与する人々だけでなく、何等かの事情で施設に通うことができない人々にも有益であるとも考え、研究を追加した。そのため、研究開始時に計画していたよりは研究が全般的にやや遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
4月ー5月アルコール依存症の施設に関与している人々への半構造化面接を行う。 6月ー8月アルコール依存症自助組織に関与している人々への半構造化面接を行う。 9月ー1月半構造化面接のデータを分析しながら本質追及ラウンドとして、面接データをふまえてアルコール依存症者の感情的問題への対処についての本質をさぐり、アルコール依存症者が自己を振り返り、何等かの感情を手がかりにして問題解決に踏み出せる力である、感情活用能力を育成するためのプログラムを作成する。 2月-3月報告書の作成、プログラム実践のための倫理委員会への書類の作成。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた研究に加えてもう1つ研究が増えたため、研究全体がやや遅れ目であり助成金の使用が遅くなったため。また、今年度に遅れを取り戻し、研究発表を行うために助成金の使用を予定している。
|