2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症の介護者男性のためのアンガーマネージメントによる虐待防止プログラム開発
Project/Area Number |
17K12517
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西尾 美登里 福岡大学, 医学部, 助手 (20761472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 裕美 福岡大学, 医学部, 教授 (00301359)
緒方 久美子 福岡大学, 医学部, 准教授 (00309981)
坂梨 左織 福岡大学, 医学部, 講師 (20569644)
尾籠 晃司 福岡大学, 医学部, 准教授 (40211817)
久木原 博子 福岡大学, 医学部, 教授 (50268950)
大上 渉 福岡大学, 人文学部, 准教授 (50551339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 男性介護者 / 在宅 / アンガーマネージメント / 虐待防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の家族において、介護中の男性と介護を終えた男性(看取りまで介護した男性)14名を対象とした。ストレッサーとして認知症の家族介護における怒りや悲しみをなどの思いを表出していただき、その直後のストレス反応として自律神経の均衡度とストレス検査を実施した。検査はMax Pulse/マックス・パルス、を使用した。この機器は ストレスに関係している(自律神経の恒常性調整メカニズムを追跡する手段として国際的に公認 された最も有効な理論)による測定機器である。対象者は、現在認知症の家族を介護している男性(以下介護中群)で妻を介護中が4名、母を介護中が1名、父を介護中が1名の計6名であった。認知症の家族の介護を終えた男性(以下介護過去群)で妻を介護した者が3名、母を介護経験3した者が4名、父を介護した者が1名で計8名であった。認知症の家族は全員が介護保険下のサービスを利用していた。要介護者の平均年齢は介護中群が77歳、介護過去群が79歳であった。介護期間は介護中群が66か月、介護過去群が52か月であった。介護が大変であった時期は介護群が19か月、介護課語群が45か月であった。介護に困難を感じている・感じていた内容は介護群が身体的2名 精神的4名 社会的2名 経済的2名であつた。介護過去群が身体的6名、精神的8名、社会的4名、経済的2名であった。ストレス反応として血圧と脈拍の平均は介護中群の平均が収縮期136mmhg 拡張期87mmhgで脈拍が76回/分、介護過去群が収縮期123mmhg 拡張期が75mmhgで脈拍が77回/分であった。ストレススコアは介護中群が41で介護過去群が32.6であった。認知症の家族介護者へストレッサーを負荷した際、ストレス反応は家族中群が高いことが予測されアンカーマネージメントの必要性への妥当性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度では、倫理審査書類にしたがい,認知症の人を在宅で介護する男性を対象とした虐待の実態と、個別要因と関連環境要因を調査した。質的に分析した結果認知症の家族を介護する男性介護者が、認知症の家族を虐待したくなる要因は、①拒否・指示通りにならない、同じことを繰り返す、責められる、思いを強要される など思い通りにならない ②予想外の妄想でできないのにやれといわれる。認知症の理解が困難 など自分が相手を理解できない ③仕事との両立、経済的疲弊などの自己の疲弊であった。 平成30年度では、平成29年度の調査結果をもとに,現在認知症者の介護中であり虐待を行いそうになった者・行ったことがある者をアンガーマネージメント群(6名)とし、すでに介護を終えた男性で虐待を行いそうになった者・行ったことがある者をコントロール群(8名)とし、ストレッサーとして認知症の家族を介護する場面での怒りや悲しみをなどの思いを表出していただき、その直後のストレス反応として自律神経の均衡度とストレス検査を実施した。介護ストレッサーへのストレス反応はアンガーが高くなる可能性を示唆している(研究実績の概要要参照)。認知症の家族を自宅で介護している男性は、認知症の家族を介護していない男性や、認知症の介護を終えた男性世よりも、よりアンガーな状態になりやすいことが考えられ、認知症の人を介護している男性へのアンガーマネージメントの妥当性について示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アンガーマネージメントのプログラムを作成し、虐待を行いそうになった者・行った経験がある者として、認知症の家族を介護している男性を対象者として介入し、有効性と安全性の評価を行う。 認知症の人を介護する男性を対象に、精神的負荷として、前研究において明らかになった「虐待をしたくなる要因の場面」を思い出し、ストレス反応として自律神経の均衡度とストレス検査を調査する。アンガーマネージメントプログラムとは、有酸素運動とマインドフルネスとするが、対象者は高齢者が多く予想されるため、有酸素運動の内容は、身体的負荷について慎重に検討する必要がある。今年度より、今までに明らかになった内容を学会で発表し、論文を作成する予定である。
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