2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症の介護者男性のためのアンガーマネージメントによる虐待防止プログラム開発
Project/Area Number |
17K12517
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
西尾 美登里 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 講師 (20761472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 裕美 福岡大学, 医学部, 教授 (00301359)
緒方 久美子 福岡大学, 医学部, 准教授 (00309981)
坂梨 左織 福岡大学, 医学部, 講師 (20569644)
尾籠 晃司 福岡大学, 医学部, 准教授 (40211817)
久木原 博子 福岡大学, 医学部, 教授 (50268950)
大上 渉 福岡大学, 人文学部, 教授 (50551339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 男性介護者 / 認知症 / 妻 / 母 / タッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
男性の家族介護者が実施するタッチング効果として,フェイシャルケアの効果を、自律神経計測と血圧・脈拍測定を行い明らかにした。介護における苛立ちを感じる状況を想起した後、フェイシャルケアを実施した。介護の苛立ちを感じる状況下と実施後の2回にわけ、血圧・脈拍、自律神経を測定した。対象者には研究協力を依頼する際、 研究の趣旨、 協力の任意性、 被験者にならない場合でも不利益がないこと、守秘義務、 学術誌などで発表することなどを説明し同意を得た。介護における苛立ちを感じる状況は、暴言を吐かれたとき、排泄を失敗したとき、家計の問題が起きた時、意思の疎通ができない時などであった。苛立ちを想起した後の男性の平均血圧と脈拍とストレスは妻を介護する男性の平均は106mmHg/65mmHg、脈拍63回/分、自律神経は非常に不均衡、身体的ストレスはかなり高い、精神的ストレスはかなり高いであった。母を介護する男性の平均は103mmHg/52mmHg、脈拍63回/分であった。自律神経は非常に不均衡、身体的ストレスは普通、精神的ストレスは高いであった。妻を介護する男性の平均は107mmHg/73mmHg、脈拍95回/分であった。自律神経は不均衡、身体的ストレス普通、精神的ストレスは普通あった。母を介護する男性の平均は、93mmHg/75mmHg、脈拍72回/分であった。自律神経は非常に不均衡、身体的ストレスは普通、精神的ストレスは普通であった。自律神経の変化は、妻を介護する男性は非常に不均衡から不均衡と変化が見られ、母を介護する男性に差は無かった。身体的ストレスは、妻を介護する男性はかなり高いから普通に変化が見られ、母を介護する男性に差は無かった。精神的ストレスは、妻を介護する男性はかなり高いから普通へ、母を介護する男性は高いから普通へと変化が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究は計画に沿って進行し、2019年度の目標はおおむね達成された。現在も計画に従い進行している。今年度中に結果を纏めることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
タッチングとしてのフェイシャルケアのストレスへの効果として、前研究から化粧をされた女性は前よりも脳波のパターンが有意に安定化し、不安定となったニューロン活動を安定化させる効果が明らかとされている。皮膚からの感覚刺激は、記憶や人間特有の高次機能を活性化する効果により神経活動が安定する。当研究により、男性介護者の結果が明らかとされ、問う研究の意義は、虐待防止に寄与できると考えられる。 マッサージの手技において、さする・たたく・つまむことにより、実施されている女性の脳血流量が変化することが明らかである。当研究において、フェイシャルケアを実施した息子は精神的ストレスが軽減し、夫は自律神経と身体・精神ストレスが軽減された。従ってフェイシャルケアは、特に夫の介護によるストレスの軽減に有効であると考えられる。したがってフェイシャルケアは、実施する男性の家族介護者にも、自立神経に良い影響をもたらす可能性が示唆された。前研究において、妻は母よりも有意にフェイシャルケアを実施されており14)、妻へフェイシャルケアを実施する夫は、ストレスの効果を感じている可能性がある。また、フェイシャルケアを実施する男性はしない男性よりも、介護生活においてストレスを軽減しながら介護していると考えられる。 虐待防止のプログラムとして、男性介護者が被介護者のフェイシャルケアを行うことは、有効である可能性があると考えられた。今後の研究の推進方策は、マインドフルネスを取り入れた効果も検討し、当研究のプログラムを完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
差額は10,587円である。今年度は研究に伴う人件費が必要となる予定であったが、共同下研究者の協力により、人件費を抑えることができた。2020年度は完成年度であるため、報告書作成や論文・学会発表に伴い多くの支出が見込まれる予定である。
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Research Products
(3 results)