2020 Fiscal Year Research-status Report
在日コリアン高齢者と韓国人高齢者の抑うつ関連要因の検討
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17K12523
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
伊藤 尚子 公立小松大学, 保健医療学部, 講師 (80456681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 康仁 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 特命教授 (30257159)
金 永子 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (50161550) [Withdrawn]
文 鐘聲 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50460960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在日コリアン高齢者 / エスニシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
在日コリアン高齢者の先行研究では、日本人高齢者と比較して、精神的健康が特に第1世代で低く、抑うつ傾向が高いことが明らかになっている。在日コリアン1世は過去の生活状況が脆弱であったことなどの影響から、同年代の日本人高齢者と比べ健康格差が認められる。高齢期の精神的健康の保持は、自殺予防に直結するなど、健康支援としても大切な課題といえる。現在、在日コリアン第1世代は、朝鮮半島から幼少期に親と共に渡日してきたケースが、大きな割合を占めている。在日コリアン第1世代は、渡日後長期的に日本で定住し、高齢者となったことで、親世代から受けた文化資本は、韓国人高齢者と同じであるが、生活環境が異なるため、比較することで人の移動に伴う健康問題を知ることにつながる。 2020年は、感染症の影響で、海外調査は中止となった。国内での調査は、感染症の発生状況を見ながら継続している。エスニック・グループの定例会議に継続的に参加し参与観察を継続した。2020年は参与観察で取集したデータを分析し、その成果を、文化看護学会学会第12回学術集会にて「マイノリティの記憶を伝える場としての福祉:在日コリアン高齢者ケアを事例に」として報告した。 また、老いに伴う課題として認知症とマイノリティの関係を「マイノリティが老いる経験認知症を抱える在日コリアン高齢者を事例に」として、立教社会学会大会第2回大会で報告を行った。本年の調査結果から、同じエスニシティを背景に持つ介護者とかかわりが、精神的健康と関連している可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症の世界的な蔓延の影響で、海外での調査は保留された。国内調査も、対象者が高齢者であることから、高齢者との接触の時期に注意して、対応する必要性が発生した。高齢者であることから、基礎疾患を多く持つ人も多いことから、感染者が減少する時期でも安全とは言えない。調査対象者の安全保持という意味で調査は延長された。計画は予定通り進まず、全体的な計画が延長されることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染状況を注意深く確認しながら、調査方法を再考していく。遠隔システムを活用しながらの、調査方法を取り入れていく。しかしながらこの方法は、高齢者自身が操作を行うことは困難なため、家族、介護者へ協力を求めていくことを検討していく。COVID-19後の新しい調査方法も合わせて検討していく。
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Causes of Carryover |
世界的な感染の影響で、研究成果報告を行う機会として、遠隔システムが利用できるようになった。そのため、研究計画で予定された、成果報告に関する旅費などの項目が不要となった。しかしながら、感染症の状況が悪化した場合に備えて、リモートでの会議システムの導入や、そのための端末を購入するなどの必要性が生じているため、次年度使用額はそのシステム整備の経費として使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)