2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症者の少ないタイ北部に学ぶ認知症予防対策 ~脳血流量と生活習慣の関係を基に~
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17K12534
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
清水 暢子 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (20722622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 昌宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00533960)
長谷川 昇 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10156317)
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
山田 恭子 佛教大学, 保健医療技術学部, 教授 (20191314)
望月 美也子 京都文教短期大学, 食物栄養学科, 准教授 (20367858)
加藤 真弓 愛知医療学院短期大学, 理学療法学専攻, 教授 (90512856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 近赤外分光法(NIRS) / ミニメンタルステートテスト(MMSE) / モントリオール認知評価(MoCA) / 社会的孤立 / 信仰心 / 前頭前野血流量 / タイ / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学的管理が充実している日本の高齢者であっても、認知症予備群から認知症へ移行する数は増加の一途である。一方、チェンマイ県での認知症罹患率は、日本の6分の1程度に留まっている。そこで本研究の目的は、タイ北部農村部とタイの都市部の高齢者、日本の北陸地方の農村部と都市部の高齢者の、認知機能面、身体機能面、社会生活面、栄養摂取面、精神心理面、保健行動面を評価し、その影響要因について、また、継続して3年間の認知機能経年変化値や脳血流量変化量を従属変数に、生活習慣や環境、社会背景を説明変数として何が認知機能の経年変化に影響を与えているかを比較検討することであった。日本側の農村部および都市部在住の高齢者の調査から、ミニメンタルステートテスト(MMSE)の値と言語流暢性課題と運動課題を同時に行う二重課題実施中の前頭前野の脳血流との間に有意な関連がみられ、近赤外分光法(NIRS)を使用した前頭前野血流変化量は認知機能低下の予測因子として重要な指標となり得ることが示唆された。また高齢者の宗教観および社会的孤立が認知機能に及ぼす影響についての調査結果から日本の都市部と農村部ではMMSEとMOCAの認知機能検査結果に違いはなかったが、農村部では信仰有りが有意に高く、「信仰の有無」、「高齢者のうつ」、「社会的孤立状態」は認知機能の経年変化の予測因子になり得ることが示唆された。一方、タイ,チェンマイ市内都市部と農村部の3か所の高齢者サロンに通所する高齢者へ、半構成的インタビューを中心に行った結果からは、「老いることの意味」について全員が「老い」をポジティブに受け止めていた。タイ高齢者の宗教心が老いへ向かう態度や日々の生活への態度にポジティブに関連している可能性があった。宗教的背景が他者とかかわる機会を持たせ、「人の役に立つ」ことを満たすために、高齢であっても孤立しない環境である可能性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日本の農村部および都市部在住の高齢者に対し、認知機能テスト、脳血流テスト、社会生活、栄養摂取、心理的特性、および健康行動の間の脳血流と認知機能の関係を統計的に分析し、NIRSを使用した二重課題実施中の前頭前野血流変化量は認知機能低下の予測因子として重要な指標となり得る結果が出た。同様の調査をタイ北部在住高齢者に対して実施するために、チェンマイ大学共同研究者らと調査準備とタイ学術研究会議(The National Research Council of Thailand:NRCT)への調査許可申請を2年間をかけて行い、4回目の再申請でやっとNRCTのタイでの調査許可が下りた(2019年11月)矢先の2020年3月に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地調査に入れない状態となり、日本の高齢者とタイの高齢者の認知機能の経年変化とその影響要因についての比較検討が出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はタイ側研究者とリモート会議により調整を行い、日本側研究者が今後も現地に入れない場合近赤外分光法(NIRS)を使用した二重課題実施中の前頭前野血流変化量の測定は実施できない。しかし、それ以外の測定項目に関して、タイ共同研究者を通じて測定を行い比較検討できるかどうかを調整して可能な限りで遠隔による調査の実施を試みる。タイでの調査が可能になれば、2020年3月に予定されていた日本の高齢者と同じ調査内容を実施する予定だが、現在はその日時について目途が立てられない状況である。
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Causes of Carryover |
チェンマイ大学共同研究者らと調査準備とタイ学術研究会議(The National Research Council of Thailand:NRCT)への調査許可申請を2年間をかけて行い、4回目の再申請でやっとNRCTのタイでの調査許可が下りた(2019年11月)矢先の2020年3月に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地調査に入れない状態となった。そのための旅費・交通費、現地調査費用が次年度へ繰り越しとなった。日本の高齢者とタイの高齢者の認知機能の経年変化とその影響要因についての比較検討が出来ていない。新型コロナウイルスの収束とともに日本人研究者らがタイに入国できれば直ちに、2020年3月に予定されていた日本の高齢者と同じ調査内容を実施する。そのための旅費・交通費や調査費用に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Development of dementia predictor using near infrared spectroscopy-relationship between cerebral blood flow and cognitive function during dual-task.2019
Author(s)
Nobuko Shimizu,Noboru Hasegawa,Miyako Mochizuki, Takako Yamada, Mayumi Kato, Masahiro Matsunaga, Tomohiro Umemura, Hunsa Sethabouppha, Nattaya Suwankruhasn, Chalinee Suvanayos, Duangruedee Lasuka
Organizer
The 23rd East Asian Forum of Nursing Scholars (EAFONS) conference
Int'l Joint Research
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